2014 Fiscal Year Research-status Report
振動試験の適正化に役立つ非加振方向の振動現象解明および試験条件導出理論の構築
Project/Area Number |
25871239
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
津田 和城 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40359435)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 振動試験 / 輸送包装 / 3次元挙動 / 蓄積疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、輸送後に製品の返品や廃棄が出ない無駄のない社会を実現するために、多くの業界で出荷前に実施されている、包装貨物の振動試験の条件適正化を目指している。その実現のために年度ごとに目標を掲げ、2年目である今年度は、加振中における製品の非加振方向への振動発生原因を明らかにするという目標に取り組んだ。 今年度は非加振方向への振動発生原因を明らかにするために、高速度カメラを用いて加振中における箱内の製品の振動挙動を観察した。実験ではボトル入り包装貨物を対象にし、JIS規格の条件で垂直方向に貨物を加振して、箱内のボトルの振動挙動を観察した。その結果、加振中にボトルがバランスを崩し、その状態で加振されることにより、ボトルが非加振方向にも振動する様子が観察された。 このように高速度カメラを用いた製品の振動挙動の観察により、製品の非加振方向への振動発生原因を明らかにできた。製品の固定が不十分な貨物では、箱内で製品がバランスを崩した状態で加振され、製品は非加振方向にも振動する可能性がある。このような貨物に対しては、非加振方向も含んだXYZ各方向で、輸送と試験が同じ厳しさになる試験条件導出理論が必要になると考えられる。 さらに今年度は、輸送振動を代表するPSD(疲労等価PSD)の簡易算出法を考案するという目標にも取り組んだ。記録計で連続測定される輸送振動データは膨大になるため、輸送振動の疲労等価PSDを算出するには、時間と手間がかかる。そこで、一定時間間隔の振動レベルごとに逐次疲労を計算し、その総和からPSDを算出する方法を提案した。テーラリングのような従来法では、走行道路や輸送機関の種類ごとに輸送振動を分類し、分類したデータごとにPSDを計算する必要があった。一方、提案法では、一定時間間隔の振動レベルごとに、比較的単純な計算を繰り返すことにより、疲労等価PSDを算出できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、高速度カメラを用いて加振中における箱内の製品の振動挙動を撮影し、製品の非加振方向への振動発生原因を明らかにできたため。さらに、輸送振動の分析や輸送振動を代表するPSDの簡易算出方法の提案なども行ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、製品の3次元挙動に注目して輸送と試験の違いを明らかにするとともに、非加振方向への振動現象の存在およびその問題点を指摘した。 本年度は、製品の非加振方向への振動発生原因を明らかにするとともに、輸送振動の分析および輸送振動を代表するPSDの簡易算出方法の提案を行った。 次年度は、製品の非加振方向への振動にも対応可能な、XYZ各方向で輸送と試験が同じ厳しさになる試験条件導出理論の構築を試みる。 一方で、講演会や学会での成果発表を行い、議論や意見交換を通して課題の抽出や解決策の検討を図る。
|