2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチオミックス解析によるTGF-β癌促進作用機序の解明
Project/Area Number |
25871241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松原 三佐子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00635120)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテオミクス / TGF-beta / 転移性乳癌モデル / 乳癌転移促進因子 |
Research Abstract |
本研究の目的はTGF-betaの癌転移促進作用を司るタンパク質とリン酸化タンパク質を探索し、TGF-betaの癌転移促進作用機序を明らかにすることである。 TGF-betaシグナル関連因子を選別するため、マウス転移性乳癌モデル(4T1細胞株)にTGF-beta阻害剤を投与し、転移巣より精製したタンパク質のプロテオーム解析を行った。ショッガン解析(Thermofisher scientific社、LTQ-Orbitrap Velos)については、トリプシン消化したペプチドに安定同位体標識(iTRAQ法)を導入し、TGF-beta阻害剤投与群(SB-431542/DMSO-CornOil)とコントロール群(DMSO-Corn Oil)比較相対定量解析を行った。本研究に使用されたマウス4T1細胞の乳腺移植実験は複数の論文でTGF-beta阻害剤が肺転移を抑制していると報告され、我々のモデルも同様にTGF-beta阻害剤による転移抑制が見られた。そのため、MSによるプロテオーム分析結果を多変量解析とIngenuity pathway analysisによる統計学的処理を行い、複数のタンパク質が乳癌の転移に関与する因子と考えた。その後、MS解析の結果を検証するためにタンパク質の発現量をウエスタンブロッティング法およびmRNAレベルで確認を行った。現在、当初の予定であった転移巣より抽出した同サンプルよりリン酸化タンパク質濃縮法(IMAC法)を用いてTGF-betaに活性が誘導されるリン酸化タンパク質を同定するため、サンプル調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が昨年まで在籍していた独立行政法人医薬基盤研究所、プロテオームプロジェクトは最新の質量分析装置を持ち、同時に技術員によりMSも常時メンテナンスされており、転移巣から採取した少量のサンプルから超高感度な定量解析が可能となった。そのため、本研究ではTGF-betaの新たなシグナル分子となるタンパク質が同定され、論文発表に値する結果が出ている。現在在籍する大阪市立大学に移転後も共同研究者として本研究を継続し、同時に論文の作成を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
転移巣より抽出した同サンプルよりリン酸化タンパク質濃縮法(IMAC法)を用いたリン酸化プロテオミクスの結果とプロテオミクスの結果を統合し、マルチオミックス解析による統計学的処理を行う。また、ヒトの細胞株および臨床検体組織を用いて上記で同定されたタンパク質およびリン酸化タンパク質の発現量、発現パターンと転移、悪性度との相関性を検討するとともに、そのタンパク質の機能解析ののち、論文投稿をする予定である。
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