2014 Fiscal Year Research-status Report
部位特異的組換え酵素の細胞内直接導入メカニズムの解明と人工ヌクレアーゼへの応用
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25871247
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Research Institution | National Research Institute of Brewing |
Principal Investigator |
水谷 治 独立行政法人酒類総合研究所, その他部局等, 研究員 (10443996)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え / Aspergillus oryzae / マーカーリサイクリング / Cre/loxP システム / 人工ヌクレアーゼ (TALEN) |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに部位特異的組換え酵素 (Cre) を、核酸を酵素キャリアとする事で麹菌細胞内に直接導入することに成功し、ターゲット配列 (loxP) 間に挟まれたマーカー遺伝子等を、従来より簡便に除去できる方法を開発している。本研究では、Cre 酵素を麹菌細胞内に直接導入し、機能させるために核酸が酵素キャリアとしてなぜ必要なのかを明らかにし、導入酵素を Cre だけでなく、人工ヌクレアーゼ (TALEN) でも応用が可能かに挑戦することで、有用菌株の造成技術の開発を目指している。Cre 酵素の酵素キャリアを検討する実験において、酵素キャリアを用いた時と比べて効率は低くなるが、Cre 酵素単独でもマーカー遺伝子の回収が可能であることが明らかとなった。これは、Cre 酵素の供給元が変わり、N 末端にオリゴペプチドが付加されている事が示唆された。そこで、大腸菌を用いて His タグ体付 Cre を発現・精製を行い、麹菌細胞内に直接導入出来るかを検討した。その結果、やはり酵素キャリアを用いた時と比べると効率は落ちるが、市販 Cre 酵素より約 20 % 程効率良くマーカー遺伝子の回収が確認された。現在、この現象がタグの効果によるものなのかを調べるために、タグ体なしの Cre 酵素の精製を行っている。一方、人工ヌクレアーゼ、TALEN でも細胞内直接導入が応用可能かを検討する最初の取りかかりとして、糸状菌用 TALEN 発現プラスミドを構築し、一過的発現により、麹菌においても TALEN が機能するかを調べた。ターゲット遺伝子にはカウンターセレクションが出来る ATP sulfurylase をコードする sC 遺伝子を選択し、Non-homologous end joining による修復エラーを起こすコンストラクトで行った。その結果、得られた株の 90% 以上で切断活性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TALEN に関しては概ね順調に進んでいる。一方、麹菌細胞内に Cre 酵素を導入するために必要であった酵素キャリアが存在しなくても、細胞内に導入が可能な条件を見出せつつあるが、そのコントロールとなるタグ体なしの Cre 酵素の精製に遅れが生じているため、”やや遅れている” とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予想に反してタグ付の Cre 酵素において、単独でも細胞内に直接導入させられることが示唆されつつある。今後は、この理由を調べることで、どのような仕組みで Cre 酵素が麹菌細胞内に導入されているのかを考察していく。また、糸状菌用に作成した TALEN が麹菌で機能することが明らかとなったので、細胞導入に必要な条件を付加した TALEN を作成し、大腸菌等により発現、精製を試み、TALEN を麹菌細胞内に直接導入できるか検討する。
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Causes of Carryover |
TALEN プラスミド作製サービスが当初の予定より安く利用出来た結果と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本繰越額は次年度の研究費とあわせ、リコンビナント Cre 酵素や TALEN の精製及び、それらを利用した麹菌への細胞内導入に関する実験に使用する予定である。
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