2013 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動と身体運動が関わる空間記憶メカニズムの解明
Project/Area Number |
25880001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤木 晶子 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (00650607)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 空間記憶 / 眼球運動 / 身体運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,目と手から得られる2種類の空間情報を協調させる必要のある状況において,眼球と身体に固有の空間貯蔵システムがどのように連携しているのかを実験的に明らかにすることであった。この研究目的を達成するために,本年度は,新たな実験環境の整備を主に行った。具体的には,タッチモニタを導入することで,目で見た対象に指で触れた時の座標を記録できるようにした。これにより記銘時のエラー,再生時の空間位置をデータとして取得し,分析した。さらに,EOG法による眼球運動測定装置の改良を行うことで,視対象の空間位置を記憶する際,および遅延時間中に閉眼した際の水平方向と垂直方向の眼球の動きを測定した。これにより,眼球が動いているのか否かの確認と眼球位置の特定を行った。 これらの実験環境の整備を行った上で本年度は実験を一つ行った。本研究課題において予定している実験は,眼球運動と身体運動による干渉効果を検討する実験,リハーサル効果を検討する実験,リハーサル作業に対する干渉課題の影響を検討する実験の合計3つをである。そのうち,本年度は干渉効果の実験を行った。その結果,目で見た情報を手で指し示して記憶した空間情報の保持には,眼球運動と身体運動の干渉効果が同程度に生じた。このことから目と手を協調しながら記銘した空間情報の保持には,眼球運動と身体運動の両方が同じようにリハーサル機能を果たしていることが明らかにされた。この結果を踏まえ,次年度は同様の実験環境を用い,その環境において眼球運動と身体運動によるリハーサルがどのように行われているのかを,リハーサル作業による促進効果の実験および眼球もしくは身体によってリハーサル作業を行った後の保持過程を検討する実験によってさらに検討を重ねていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,新たな実験環境の整備がもっとも重要であり,研究を進める上で欠かせない作業であった。本年度は全ての研究課題を達成するためにこの点を重点的に行った結果,実験環境を整備するだけに止まらず,実際に実験を実施することができたという点において非常に順調に計画を遂行していると思われる。また,次年度以降行う予定の他の実験については,本年度整備した実験環境を用いた応用的な実験になるため,実験実施前に要する準備作業はそれほど多くない。したがって,次年度は実験の実施と学会発表,論文執筆と研究活動の幅を広めことができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,新たな実験を実施するとともに,これまでに実施した研究成果を国外および国内の学会で発表することを予定している。国外では,European Workshop of Imagery and Cognition (EWIC) 2014にて発表を予定している。この学会への参加は初めてであるが,本申請者が行っている研究に非常に関連のある研究者が集う国際学会であるため,有意義な情報交換および交流が期待される。また,国内では,日本心理学会78回大会で発表を予定している。こちらでは,様々な領域の研究者が集う規模の大きい学会であるため,広く情報収集し,他分野の研究者との交流が期待される。これに加え3つの実験を一つにまとめた学術論文の執筆を行う予定である。
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