2013 Fiscal Year Annual Research Report
到来方向の違いによる音響的特徴を活用した音声強調手法の提案
Project/Area Number |
25880011
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森川 大輔 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (70709146)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | カクテルパーティ効果 / 到来方向 |
Research Abstract |
目的の音の聴取を容易にするために重要な到来方向の違いによる音響的特徴を明らかにするために、音響的特徴の操作を行って聴取実験を行うための実験系を構築し、実験環境を整え、聴取実験を行った。具体的な実績は以下のとおりである。 まず、目的の音の聴取を容易にするために重要な到来方向の違いによる音響的特徴に目星をつけるために、スピーカアレイを用いて実空間で、二つの刺激音を同時に受聴した場合に、二音が分離知覚されやすい条件を明らかにした。その結果、ヒトが到来方向の知覚に主に用いている特徴のうち、両耳間時間差がカクテルパーティ効果に特に大きな影響を与えていることが示唆された。 次に、ある音響的特徴だけを変化させる等の音響的特徴の操作は、実空間のスピーカでは困難な場合が多いため、スピーカでは困難な音を呈示する実験を行うための実験系を構築した。 そして、構築した実験系を用いて、目的の音の聴取を容易にするために重要な到来方向の違いによる音響的特徴を明らかにするために、両耳間時間差を他の音響的特徴と独立して変化させる条件で、目的の音の聴取の容易さを調べる聴取実験を行った。その結果、両耳間時間差が、カクテルパーティ効果に影響を与えていることがわかった。 最後に、両耳間時間差が、カクテルパーティ効果に与える影響を系統的に明らかにするために、両耳間時間差を細かく操作し聴取実験を行った。その結果、正面方向の場合、45°以上の角度差に対応した両耳間時間差を2つの刺激音の間に加えると、目的の音の聴取が両耳間時間差によって容易になることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記した研究計画において、1.重要な音響的特徴の予測、2.実験系の構築、3.重要な音響的特徴の解明、の達成を25年度の目標としていた。 そして、1.重要な音響的特徴が両耳間時間差であることを予測し、2.実験系を構築、3.構築した実験系を用いて、両耳間時間差がカクテルパーティ効果に影響を与えていることを明らかにした。 3つの達成目標について、当初の計画通り目標をほぼ達成できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらに詳しい聴取実験を引き続き行い、両耳間時間差がカクテルパーティ効果に与える影響を静的な条件、動的な条件の両方で系統的に明らかにする。そして、明らかになったことから、目的の音を聴き取りやすく呈示するシステムの構築を試みる。 さらに、聴取実験によりシステムの評価を行い、目的の音が聴き取りやすく呈示されることを確かめる。この結果に基づいて、本研究の成果であるが聴き取りやすい補聴器の開発にどの程度貢献できるか全体考察を行う。
|
Research Products
(4 results)