2013 Fiscal Year Annual Research Report
遅延聴覚フィードバックによる非吃音者の吃音様症状発生における個体差の要因
Project/Area Number |
25880024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
塩見 将志 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (60711215)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 吃音(様)症状 / 発話速度 / 筋活動量 / 脳血流量 / 眼球運動 |
Research Abstract |
自己の発話を50~200ms程度遅らせて話者に聴かせる(遅延聴覚フィードバック、以下DAFとする)と流暢な発話が阻害され、発話速度の低下や音・単語の繰り返しの増加、音の引き伸ばしといった非流暢な発話(吃音様症状)が生じることが知られている。しかし、この効果には個体差があり、吃音様症状が生じにくい話者がいることも報告されおり、個体差を生み出す要因について検討していく必要がある。 DAFの効果に関しては、吃音様症状という言語症状以外にも発話時の構音運動、眼球運動、脳活動などについても様々な知見が得られている。 本研究では、この遅延聴覚フィードバックの効果に関する個体差の背景を探ることを目的として、発せられた音声についての分析、発話時の口輪筋の活動量、課題遂行時の眼球運動、さらには前頭皮質の脳血流量の測定を実施する。 そこで25年度下半期は、上述の測定を行うための準備段階として、実験材料及び実験プログラムの作成、機器の調整を行ってきた。結果、眼球運動の測定を除く、表出された音声の分析、口輪筋の活動量および脳活動の測定は、DAF条件下および正常聴覚フィードバック(Normal Auditory Feedback、以下NAFとする)条件下とも予備実験を終了し25年度末より本実験を開始している。なお眼球運動の測定については、26年6月上旬より予備実験を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
眼球運動の測定については他の実験に比し若干滞っており26年6月上旬からの予備実験開始予定であるが、表出された音声の分析、口輪筋の活動量および脳活動の測定は25年度末から本実験を開始していることから、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前期(4月~9月)は、申請者が所属する機関の学生(非吃音者)に対し、DAF条件下とNAF条件下で、発話課題を実施する。その際には、発せられた音声についての分析、口輪筋の活動量、前頭皮質の脳血流量および課題遂行時の眼球運動の測定を実施し、DAFの効果が顕著であった被験者群とDAFの効果が軽度であった被験者群の結果を比較する。 平成26年度後期(10月~平成27年3月)には、学会・学術誌への積極的な成果の公表を行うとともに、得られた成果を吃音臨床に応用させるための検討を、吃音の治療を行っている言語聴覚士とともに行いたいと考える。
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