2013 Fiscal Year Annual Research Report
カーネル法に基づいた歪みに頑健な話者照合システムの構築
Project/Area Number |
25880026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
塩田 さやか 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (90705039)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 話者照合 / 音声信号処理 / 統計的機械学習 |
Research Abstract |
生体認証は近年携帯電話やATMなどのセキュリティとして普及しつつある。生体認証の方法の一つとして音声を用いる話者照合という技術がある。話者照合技術は指紋や静脈,網膜などを用いた生体認証と違い、特別な機材が必要なくマイクが一つあれば実現可能という手軽さから注目を集めつつあるが、一方で照合率が十分でないという指摘もある。特に音声は環境雑音や発声変動により入力音声が歪むため、本研究ではそれらの歪みを吸収し、話者の安定した特徴を捉えることができる話者照合技術を確立することで話者照合率の改善及び話者照合技術の普及を目指す。 本年度の研究実施計画として、カーネル法に基づいた新たな話者照合技術の確立、システムの開発及び小規模なタスクでの評価実験が挙げられた。まず、今回用いるカーネル法に基づく手法をどのように話者照合技術と組み合わせるか議論し、様々な条件を比較し適切な状態を模索した。この手法を適切に動かすためのアルゴリズムや識別基準として用いるための基準の設定方法等についても研究協力者らと議論をかわした。一方、比較手法となるベースライン手法として,従来から広く用いられているGMM-UBM, SVM-GMMを用いた手法や、近年話者照合の分野で最先端の手法として広く用いられている因子分析を用いた手法についても準備した。評価事件としてはまずクリーンで小規模なタスクを用いた評価実験をおこないつつ話者照合の分野で標準タスクとして用いられているNIST SREデータを用いた実験についても準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標ではMMDを用いた話者照合技術の確立及びシステムの開発,小規模データでの評価実験をあげていた。技術の確立に関しては研究協力者とも議論を交わしつつ、話者照合に適切な条件について研究を進めてきた。また,提案手法および従来手法のシステム開発に関しても概ね完了している。しかしながら、本年度の達成目標の一つである小規模タスクを用いた評価実験において、提案手法を用いた場合に従来手法と比較して十分な性能を得ることが出来ず、現在も十分に性能が出ない理由について議論を進めている状態である。 一方で、平成26年度に行う予定のNIST SREデータベースを用いた大規模な評価実験のためのベースラインシステムの構築及びデータの整理等の準備はすでに完了しているため、提案法を用いて十分な性能が得られることを確立できればNIST SREデータベースを用いた大規模な評価実験をすぐに行うことが可能である。 また,話者照合や統計的機械学習における最新技術の動向についても調査を進めており,適宜必要な技術等についても学会等で調査を行い最先端の動向についても注意を向けている。 以上のことより総合的に判断して達成度はおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
機械学習の分野でカーネル法を用いた識別について研究発表を行っている人ともディスカッションを進めつつ提案手法が高い識別性能を持っていることを実データを用いて数字的に示せることを目指す。 一方、追加点として、統計的手法を用いたパターン認識の分野では近年、ニューラルネットワークを用いた手法が注目を浴びてきている。話者照合の分野ではまだ発表はほぼされていないが、他の分野では次々と最先端の座を奪いつつあるため、話者照合においてどのように動くのか、様々な条件についても検討していく予定である。 また、カーネル法を用いた手法においては性能改善を進める一方で更なる新しい手法についても考えうる可能性を追求して行く予定である。
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