2013 Fiscal Year Annual Research Report
腰痛に対する理学療法実践の筋電図学的根拠となる立位・座位時の屈曲弛緩現象の研究
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25882026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
隈元 庸夫 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50708526)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 医療・福祉 / 理学療法学 / 腰痛 / 筋活動 / 背筋 / 筋電図 |
Research Abstract |
立位と座位での屈曲弛緩現象について、静的に体幹屈曲保持中の屈曲角度の違いで比較検討し、背筋群をリラクゼーションすべき角度、逆に背筋群の筋活動を賦活させ脊柱安定化すべき角度、この両者が立位と座位で異なるか否かを明確化することによって、姿勢と角度で痛みが異なる腰痛症者への有用な治療選択基準を確立することを目的に健常者を対象とした筋電図学的な基礎的検討を行った。その結果、体幹の屈曲角度が大きいほど筋活動量も増加し、全ての条件において座位よりも立位での筋活動量が高い値となった。また座位での筋活動量は立位の状態よりも浅い屈曲角度の段階で筋活動量が一定となった。 屈曲弛緩現象について筋電図以外の知見としては筋圧の検討があり,ある一定の屈曲角度からは筋圧が一定値をとるとされ、脊柱の支持機構が筋系から靱帯系に移行したものとされる。今回、姿勢保持が深屈曲位になるにつれ筋活動は増加するが、ある屈曲角度以降では筋活動量が有意に増加しない結果となった。これは筋圧の報告と同様に筋系から靭帯系へ支持機構が移行した可能性が考えられた。また立位と比較して座位では多裂筋を含めた脊柱起立筋群の筋活動が浅い屈曲角度位保持の段階で既に変化しなかったことは靭帯系への移行が座位ではより早期に行われていた可能性が考えられた。 以上のことから、座位では背筋群をリラクゼーションすべき角度が立位よりは浅く、逆に立位では深屈曲位まで背筋群の筋活動を賦活させて脊柱安定化をはかるべきであることが示唆された。 動作速度や動作筋電図計測の限界の影響を受けづらい静的な筋活動での量的指標となりうる本結果は、静的保持により生じうる姿勢性腰痛に対する理学療法手法選択の有益な一指標になりうる点で意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進行し、結果の一部について論文化、学会発表を行った。また研究内容の一部を講演にて紹介したため順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度から発展させ、運動課題を直立した姿勢からだけではなく、脱力した姿勢から、体幹を多段階の屈曲角度にて保持させる運動とする。
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