2013 Fiscal Year Annual Research Report
コモン・マーモセットにおける父親の育児参加の役割と子の発達との関連
Project/Area Number |
25882032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
安江 みゆき 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 研究生 (60710952)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | こども学 |
Research Abstract |
本研究は,コモン・マーモセット(以下マーモセット)を用いて父親の養育行動と子の成長発達の関係を調べることにより,育児における父親の役割を明らかにすることにより、近年増加しつつある一人親家庭または発達障害の子を持つ家庭に対して必要な支援を,親側からのニーズのみではなく,子への利益という別の視点から考察することを目的とする.本年度は主にモデル動物の作成と乳幼児期の観察および実験、さらに成体動物に課題を与えた。これにより、定型家族グループの動物作成と乳幼児期の検査データ、学習や認知課題におけるマーモセットの基礎データが得られた。 マーモセットは、それぞれのペアによって個体差はあるものの、出産直後から父親が授乳以外の養育行動を頻繁に示し、それは子が離乳するまで継続していた。子が母乳以外の栄養を摂れるようになると、父親も母親も子に食物分配をすることが観察されたが、子の成長とともに食物分配は減少し、やがて観察されなくなった。社会性試験においては、空の筒が置いてあるチャンバーよりも、見知らぬ個体がいるチャンバーに長く滞在し、乳児期では見知らぬ個体を良く見ていたが、幼児期になるとみる時間を減らしていたことが示された。また、統制個体として配分されている成体を用いて学習実験および社会認知実験も行った。社会認知試験では、自分に関係のないヒト演者のやり取りを見て、自身の行動を変化させたことが示された。これらマーモセットの基礎データが得られたので、これらを今年度の学会等で発表する準備をしている。 今年度は、昨年度作成した個体を用いて縦断的に成長発達を調べるとともに、動物の健康状態に留意しながら、父親が不在のモデル動物を作成し、実験を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マーモセットの基礎データを得るために、今年度は定型家族動物の作成を中心に行った。父親不在のモデルグループの作成は、これらのデータをまとめながら行い、動物の健康に留意しながら進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
定型家族グループの準備は25年度で概ね揃ったため、今年度はさらにモデルグループを繁殖または配分によって準備する(動物の倫理問題上実験に用いる動物数は最小限とする)。モデル動物のデータは、すでに得られている定型動物のデータと比較しながらまとめ、養育者の違いが子の身体、社会性、学習能力等の発達に与える影響を調べ、それらの結果をまとめて学会発表等を行う。
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