2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用修復材料開発のための金属曝露による細胞ストレス応答
Project/Area Number |
25882035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
軽部 裕代 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70318913)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 歯科用修復材料 / 金属曝露 / 細胞ストレス応答 / バナジン酸ナトリウム / 象牙芽細胞様細胞株 |
Research Abstract |
歯科用修復材料の開発は、歯科医療における治療技術を向上させる上で重要である。特に歯科における医薬品・医療機器の開発は、分子生物学の急速な進歩により病態が明らかになり始め、これらの成果を応用した新しい製品の開発が必要になっている。申請者はこれまで、象牙芽細胞様細胞株を用いて、歯科用修復材料に使用されているフッ化ナトリウムや亜鉛の細胞毒性について研究し、フッ化ナトリウム曝露ではアポトーシスによる細胞死を引き起こすことを明らかにし、亜鉛曝露では酸化ストレスから生体を防御すると考えられているHeme oxygenase-1(HO-1)を生ずることを明らかにした。本研究では、今後、歯科用修復材料として使用が見込まれている金属等を曝露することにより、細胞応答の発生機序やシグナル伝達系、および、細胞障害や防御に関わる蛋白や遺伝子の解明を行うことにより、細胞応答による分子機構を明らかにし、細胞における歯科用修復材料の毒性学的意義について検討することを目的としている。 今年度は、歯科用修復材料として使用が見込まれている重金属の細胞応答について確認し、曝露物質をバナジン酸ナトリウムとした。マウス由来の象牙芽細胞様細胞株(MDPC-23細胞)にバナジン酸ナトリウムを曝露し、細胞生存率をWST-8アッセイにて測定した。曝露濃度(5μM~2mM)および曝露時間(2~24時間)に依存して細胞生存率の低下が認められた。今後はこの結果をもとに、バナジウム曝露によって生じた細胞応答の発生機序やシグナル伝達系について解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験開始当初は、より生体での応用に近づけるため、ヒトの歯の細胞での金属曝露を考えていた。しかし細胞の選定と曝露物質との関係において、細胞が実験に適さないなどの理由により、思うように研究を進めることができず、最終的にマウス由来の細胞株を使用することとした。細胞由来を変更しても、歯科用修復材料が直接作用する部分の細胞を選定しているので、研究計画への影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、バナジウム曝露による細胞死を主とした検討を進めており、今後は、バナジウム曝露によって生じた細胞応答の発生機序やシグナル伝達系について研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)