2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会的随伴性認知の神経基盤:自閉症者と定型発達者の比較
Project/Area Number |
25882052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐々木 章宏 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 客員研究員 (10711781)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | fMRI / EBA / 自閉症 / 認知神経科学 |
Research Abstract |
本研究課題は他者との社会的なやりとりに困難を持つ自閉症患者を対象とした脳機能計測実験を通じて,自閉症の病態解明と社会的な関係の構築に関わる神経基盤の解明をめざすものである。 自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder, ASD) は神経発達障害の一つであり,自閉症の患者は他者とのコミュニケーションなど社会的なやりとり(社会的相互作用)に困難を持つと特徴付けられている。社会的相互作用の場面では自己と他者行為の間の因果関係(社会的随伴性)の認知が重要と考えられている。随伴性の認知は自己行為と外界からの反応との比較で成され,行為の自己主体感の認知に関与する。さらに社会性の発達を経て,随伴性認知システムの機能的拡張が社会的随伴性の認知を可能にすると考えられている。また自閉症患者は社会的随伴性の認知に困難を持ち,随伴性認知の神経基盤の発達が不十分であると示唆されている。このことから,平成25年度は自閉症患者と定型発達者を対象としたfMRI実験実施し,社会的随伴性認知に関わる神経基盤の差異の解明を目指した。実験には自閉症患者19名と定型発達者24名の協力を得た。被験者はfMRIの計測中,音声指示に従い手指を動かし,スクリーンに呈示された自身または他者の手指の動きを観察する課題を行った。観察する映像には被験者の手指の動きとの間の一致性(一致,不一致),動きのタイミング(同時,遅延)について実験的操作を加えた。脳機能画像解析の結果,自閉症群・定型発達群のいずれでも遂行した動作と同時に同じ動作を視覚呈示した際に両半球の後頭・側頭皮質における有意な賦活を認めた。先行研究で遂行した動作と観察した動作の一致性にextrastriate body area (EBA)が関与するとの結果とも整合する。今後は後頭・側頭皮質の活動パタンと自閉症スペクトラム指数との相関について解析と結果のまとめを進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸念していた自閉症患者のリクルートも滞り無く行うことができ,当初の計画通り自閉症患者,定型発達者20名程度のfMRI実験を行うことができた。データ解析も順調に進んでいることから,概ね計画通りに進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施したfMRI実験が概ね順調に進んだことから,集団レベルでのデータ解析と論文執筆を早急に進める。また25年度の研究から得られた示唆を元に,新規の研究を計画しており26年度に実施する予定である。
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