2014 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドにおける家族介護支援の認定プロセスについての人類学的研究
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25884011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 絵里香 千葉大学, 文学部, 准教授 (90706912)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | フィンランド / 福祉人類学 / 家族介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用最終年度となる平成26年は、フィンランド西南部の自治体パルガス町における家族介護支援制度に関する集中的な実地調査を行った。平成26年8~9月、平成26年12月、平成27年3月に、パルガス町行政による社会福祉サービスの現場に赴いた。自治体の訪問介護、訪問看護に同行したほか、行政の家族介護支援の担当者、施設介護を受ける高齢者の脱施設化を支援する帰還担当官、作業療法士等へのインタビューを行い、行政による親族介護支援の対象者への家庭訪問やケアミーティングに参加した。 これらの調査から、現在の親族介護支援制度が、社会民主主義型の福祉国家が新自由主義的な構造改革を遂げる中で増強されてきたものであることが分かった。特に、消費者本位の論理が推進される中で、社会福祉サービスの消費者としての親族介護者と、社会福祉サービスを提供する労働者としての親族介護者という二つの側面が、親族介護者の認定/棄却過程においてコンフリクトを生んでいることが分かった。 こうした調査結果にもとづき、学会発表や出版物という形で成果発表を行った。福祉社会学会での発表は、フィンランドの親族介護支援制度の概要を紹介し、社会福祉学の議論に対するインパクトを評価するものであった。対して、IUAESとEASAという二つの国際学会での発表は、人類学理論への貢献を企図するものであった。特にEASAでの発表は、人類学の親族理論が従来度外視してきた、専門職としてのケアワーカーと扶養者としての親族の類似という問題について、親族介護支援の現場におけるコンフリクトから考察するものであった。 さらに、雑誌「現代思想」に発表した論文は「認知症新時代」と題する特集に寄せたものであり、認知症高齢者とそれをケアする家族との関係についての民族誌的記述から、認知症高齢者の自己決定と介護者による介入が、どのように折り合っているのかを考察した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)