2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25884018
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
長屋 尚典 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (20625727)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 言語学 / 言語類型論 |
Research Abstract |
タガログ語を含むフィリピン諸語は焦点体系と呼ばれる動詞形態論を持ち、一つの語根から複数の動詞が派生される複雑なヴォイス現象・項交替現象を示す。申請者の考えでは、この動詞形態論に関する従来の研究には動詞分類という観点が欠けていた。しかし、Levin (1993) による英語の動詞分類の先駆的研究からも明らかなように、ヴォイス現象や項交替現象においては、動詞分類の観点が有効である。そこで本研究計画では、二種類の動詞分類、すなわち、(i) 動詞語根の意味的クラス、および (ii) 動詞語根の形態論的クラスをとりあげ、その動詞分類が [I] 焦点体系による動詞派生をどのように制限し、[II] ヴォイス現象・項交替現象にどう影響するのかを解明する。 本研究計画は主に二つの段階からなっている。第一に、文献調査を踏まえて調査すべき500個の語根を選定する段階である。第二に、選定された500個の語根についてフィールド調査でデータを収集し、データベースを構築する段階である。 平成25年度は、文献調査と調査語根選定を中心に行った。まず、ヴォイス現象、項交替現象や動詞分類に関する研究を参照し、どのような意味的観点からの動詞分類が有効であるか検討し、調査対象とする語根を選定した。そのうえで、平成26年3月に短期フィールドワークを行い、いくつかの語根に関するデータを収集した。さらに、データベース構築にむけてどのようなデータベースにするのがよいか検討を行った。 平成25年度の研究成果は26年度から本格的にデータベースを構築する上で重要な基礎となるものである。また、この研究計画の基礎的研究を行う過程でえられたデータや知見は、研究代表者の研究全体にも貢献し、重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、文献調査を踏まえて調査すべき500個の語根を選定することを目標とし、実際この目標が達成できただけでなく、短期のフィールドワークである程度のデータが得られたので、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成25年度から26年度までの計画である。最終年度である平成26年度は、25年度の基礎的研究を前提に、データ収集作業を徹底的に行う。さらに、それにもとづくデータベースを構築し、焦点体系と動詞分類の関係について考察を行い、研究成果として発表する。
|