2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代における能楽の伝承形態と実践ー外国人能指導プログラムを事例としてー
Project/Area Number |
25884019
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
安納 真理子 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (80706408)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 能楽 / 能指導プログラム / 伝承 / 教育 / 演劇化 / 参与観察 / 外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、身体を用いて師匠から指導される能楽の伝承に関して、特に外国人を対象とする事例に焦点を合わせた実践的研究を基盤としている。そのため国内外における外国人能指導プログラムが実施される現地での調査によって、プログラムの実態を明らかにすることが目的である。具体的に、当該年は、喜多流仕舞教士の資格を取得しているR.エマートの日本におけるNoh Training Project - Tokyo(NTP-T)と、アメリカにおけるNoh Training Project - Bloomsburg (NTP-B)に参加かつ参与観察した。調査の結果、エマートは師匠の動きを真似る古典的な指導法と、西洋のダンス教育で部分ごとに区切って舞を教える教授法に加え、エマート独自の細やかな説明が確認できた。なお、NTP-Bにおけるエマートの指導法はNTP-Tと似ており、国籍を問わず弟子個人に合った教え方や工夫が見られた。 NTP-Bは本年で創立20周年記念を迎えるため、それを祝して8月1日と2日に半能〈高砂〉と能〈羽衣〉が上演された。報告者は、地謡の一員として参加し、準備の過程や稽古の流れを体験することができた。インタビューもエマートの他、NTP-Bの創立者、初級レベル謡・仕舞担当の指導者と、プログラムに三年間通い続けている生徒に行った。これらを通して、それぞれの観点から見たNTP-Bの目的や活動、役割や意義が明らかになった。様々な側面からプログラムの実態を分析し、教育面から浮き彫りになった点は、指導者も生徒も西洋の背景を持つ方が多く、言葉のやり取りが多いことであった。技術は、見様見真似だけで伝承されるのではなく、質問や会話を交わす効果的な稽古が見られた。 この調査の結果、報告者は古典の能指導法をよりよく理解するため、11月より喜多流の謡・仕舞と、金春流太鼓を玄人の能楽師から学び始めた。以上の研究成果の一部は、3月10日に日本音楽国際交流会より招待されたパネルで「国境を越えた英語能」として発表した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)