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2013 Fiscal Year Annual Research Report

鹿児島・奄美における沖縄返還運動の実証的研究

Research Project

Project/Area Number 25884023
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

小野 百合子  一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (20707377)

Project Period (FY) 2013-08-30 – 2015-03-31
Keywords沖縄研究 / 社会運動 / 戦後史
Research Abstract

本研究は、沖縄の施政権返還と沖縄返還運動の経験が、日本本土の人々にもたらした意味を、鹿児島と奄美という二つの地域に即して明らかにするものである。
平成25年度は、奄美地域における沖縄返還運動の特徴について調査検討を行った。戦中まで鹿児島県大島郡でありながら戦後に日本から切り離されて「北部琉球」として米軍政下に組み込まれた奄美諸島では、日本への復帰を目指す運動が広汎に展開され、1953年12月に日本復帰を果たした。その奄美自身の復帰運動の経験が、1960年代後半の沖縄返還運動にどのような特徴を与えることになったのかという点が主たる考察の焦点であったが、米軍政下とそこでの復帰運動の展開という経験を沖縄と共有する奄美こそが沖縄返還運動の先頭に立つべきだとする意識や、奄美自身の復帰運動が超党派で展開されたがゆえに成功したとの評価から沖縄返還運動においてもその再現を目指す点において、奄美の沖縄返還運動と奄美自身の復帰運動の経験との連関がみられた。
他方で、当初は講和条約第三条の撤廃というかたちで沖縄・小笠原とともに復帰しようとする志向を有していた奄美の復帰運動は、最終的には鹿児島県大島郡への復帰という方針に転換したことで沖縄切り捨ての側面をももったが、この点が1960年代の沖縄返還運動において省みられ、沖縄との関係性を模索する動きがみられた。とりわけ2013年12月に日本復帰60周年を迎えて復帰運動を振り返る機運が高まるなか、奄美と沖縄との関係性を改めて考えようとする動きもみられる。沖縄返還(復帰)の歴史的評価をめぐっては、沖縄戦後(思想)史研究や日米関係史研究での蓄積があるのに対し、人々の歴史経験においていかなる位置を占めるのかという点はこれまで検討されてこなかったが、沖縄返還運動の経験が奄美という地にもたらした具体的な意味を明らかにすることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度は、沖縄(琉球)と日本との間で境界の変更による帰属先の変遷を経験してきた奄美地域における沖縄返還運動の特徴について調査検討を行った。
まず、その中心的な実行主体であった「沖縄返還奄美郡民会議」の結成経緯や活動内容について、予備調査で収集した基礎資料を分析した中間成果を、7月の日本国際文化学会第12回全国大会(龍谷大学)自由論題において「奄美における「日本復帰運動」と「沖縄返還運動」―奄美/沖縄/日本」として報告した。また9月と12月の二度にわたって名瀬市および与論町における現地調査を予定通りに実施し、奄美における沖縄返還運動についての資料調査および関係者への聞き取り調査を行うことができた。中間報告に二度の現地調査の成果をあわせて奄美における沖縄返還運動の特徴について執筆した論文を『沖縄文化研究』(法政大学沖縄文化研究所)に投稿する予定である。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は、旧薩摩藩にあたる鹿児島地域における沖縄返還運動の展開過程とその特徴を明らかにし、それまでの鹿児島(薩摩)と沖縄との関係性に沖縄返還運動の経験がどのような変容をもたらしたのかを検討する。
4月から7月にかけては、沖縄返還を控えた時期の『南日本新聞』に掲載された「近くて遠い島沖縄-新しい隣県関係をめざして」(全12回)、「隣県・沖縄」(全61回)などの連載記事を中心に、予備調査で収集した資料の整理分析を行う。8月から10月にかけて、鹿児島市および運動の資料や関係者の存在が確認できる地域にて資料調査および聞き取り調査を実施し、11月から12月にかけては鹿児島県教職員組合による「沖縄を教える」運動の考察を行う。予備調査で収集した鹿児島県教職員組合の年度報告書、『県教研の報告書』、『教育かごしま』といった資料に、8月から10月に実施する現地調査の成果を加え、「沖縄を教える」運動を担った教師たちの実践を検討する。1月から3月にかけては再度の現地調査による資料の確認を経たうえで、鹿児島地域における沖縄返還運動の特徴と沖縄との関係性の変容について考察し、論文を執筆する。

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Published: 2015-05-28  

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