2014 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける手描き模様染色布にみられる「宗教的」意義の比較研究
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25884029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松村 恵里 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (10711921)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 宗教性 / 伝統 / モノ / 製作者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査では、儀礼性を喪失している「伝統的」手描き模様染色布(カラムカリ)と、儀礼性を保有する「伝統的」手描き模様染色布とを比較考察する。それにより、布に付与される宗教性を単にデザインの面から分析するのではなく、製作者たちの意識に迫ることにより、製作者にとっての「宗教性」の意味と価値を確認し、持続可能な手工芸活性との関係を検討することを目的とする。その目的達成のために、平成26年度における調査計画では、8月に主要調査地である南インド、アーンドラ・プラデーシュ州シュリ・カーラハスティにおけるカラムカリ製作の現状把握と製作者たちの意識に関する補充調査を、また10月には北インド、グジャラート州アフマダーバードにて、手描き模様染色布製作現場状況とその製作者についての調査を行った。以上の調査から、下記の点が明らかになった。 儀礼性を保有する北インドで製作されるマーターノチャンダルヴォは、布が宗教性を孕んでいるので、製作者たち自身も儀礼性とは分かちがたい関係を保っている。すなわち、彼らがその「宗教性」を強調せずとも、布が地域的な特色としての「宗教性」を外部に向けて発信することができる。一方、南インドで製作されるカラムカリにおいて布は実質的な儀礼には使用されないため、儀礼性が欠乏しているともいえる。そのためヒトが宗教性を帯び、「俗」であるよりも「聖」に近い者であることが製作者としての付加価値となってきた。さらに、経済性が優位にたちつつある中で再確認され始めた「宗教性」は、俗性を払拭し聖性を取り戻す事ができるという、俗性に対する浄化作用を発揮する機能を果たし始めたといえる。 以上から、本調査の実施によって、これまではほとんど記録されてこなかったモノづくりのつくり手たちの意識の問題を明らかにしながら、地域的なモノづくりにおける「宗教性」の潜在的価値について検討することが可能になったと考える。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)