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2013 Fiscal Year Annual Research Report

モース以後の贈与論の再検討と贈与の思想史の構築

Research Project

Project/Area Number 25884033
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Research InstitutionShiga University

Principal Investigator

藤岡 俊博  滋賀大学, 経済学部, 准教授 (90704867)

Project Period (FY) 2013-08-30 – 2015-03-31
Keywords贈与 / モース / MAUSS
Research Abstract

本年度は、フランスの民族学者マルセル・モースの「贈与論」の受容の系譜をたどり直すことによって、人類学や哲学の分野で多様な仕方で扱われる「贈与(don)」概念の思想史の構築のための基盤整備を行うとともに、1980年代以降フランスを中心に活発に活動を続けている「MAUSS(社会科学における反功利主義運動)」の主張を整理することで贈与の現代的役割についての考察を行った。
まず本研究は、クロード・レヴィ=ストロースに代表される戦後の人類学によるモースの批判的受容が、「贈与論」に伏在する理論的側面への関心を惹起し、ジャック・デリダらによる「贈与論」の哲学的な読解への道を開いたことを示した。次に、アラン・カイエをはじめとした「MAUSS」の活動が、贈与そのものから「功利的なもの」の批判へと議論の軸足を移すことによって、「贈与論」の受容史上つねに問題となっていた贈与と交換のジレンマを発展的に解消する視点を提供していることを明らかにした。「MAUSS」の基本的なテーゼは、功利主義をベンサムやミルの思想のみに縮減せずに、プラトンやインド思想にまで思想史を遡ってその淵源を探る〈功利主義の古さ〉と、モースが分析したアルカイックな社会に限定されない贈与の現在的地位を明るみに出す〈贈与の新しさ〉という二点に集約できる。本研究はこうした「MAUSS」の議論から着想を得つつ、モースの「贈与論」を個人主義的立場と全体論的立場という対立のなかで捉え返すことで、「贈与論」を従来よりも広い思想史的な布置のなかに位置づけることを試みた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、(1)モースの著作を中心とした一次文献の収集およびその集中的読解により、モースの贈与概念を抽出すること、および(2)モース以後の人類学における贈与研究を整理することをおもな課題とした。(1)については、現在フランス大学出版局から刊行中の「モース叢書」や最新の注釈を参考とすることで作業が予定どおり進展した。(2)については「MAUSS」の主要な論者の議論を検討し現代の贈与論の展開をまとめた。以上の調査内容については口頭発表にて公にした。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の第二年次は、フランス哲学における贈与研究および、初年次の成果を踏まえた贈与の思想史の構築を目指している。研究初年次は、モースおよびその二次研究の検討を中心に行ったが、贈与論の幅広い展開をさらに視野に収めるには、モース以外の民族学者・人類学者の議論の整理が必要であるため、その作業を二年次の項目に追加して研究を進めていく予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 Other

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] モースからMAUSSへ 「贈与論」の展開

    • Author(s)
      藤岡俊博
    • Organizer
      滋賀大学経済経営研究所定例研究会
    • Place of Presentation
      滋賀大学
  • [Book] レヴィナスと「場所」の倫理2014

    • Author(s)
      藤岡俊博
    • Total Pages
      504
    • Publisher
      東京大学出版会

URL: 

Published: 2015-05-28  

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