2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25884033
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤岡 俊博 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (90704867)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 贈与 / モース / レヴィナス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年次に行ったマルセル・モースの贈与論研究を踏まえたうえで、現代のフランス哲学における贈与論の継承とその展開の過程についての研究を実施した。特に次の項目についての調査および研究を行った。(1)現在フランスで刊行が進んでいるエマニュエル・レヴィナスの遺稿集のなかから1940年代の講演「発話と沈黙」に着目し、この最初期の思想のうちにのちのレヴィナスの贈与論の萌芽を見いだすとともに、最晩年の思想にまで通じるレヴィナスの関心を特に「聴取」の概念を軸にして明らかにした。(2)モースの贈与の対抗概念として想定される「利益」の概念について、近代政治思想の端緒からフランスのモラリスト、そして18世紀の功利主義思想および経済思想に至るその思想史的系譜を再検討したうえで、レヴィナスの「無私=脱内存在性」との思想的接続について考察した。それによって、レヴィナスの思想が、事実的なものと権利的なものを峻別したうえで前者に徳の基礎を認める一連の思想史的潮流に対置されうるものであることが明らかになったと同時に、レヴィナスの倫理思想が、贈与論をも含む広い思想史的視野のもとに位置づけられる発展的な可能性が示された。 以上の個別の研究内容については、その成果を学会および研究会の場にて公表した。研究期間全体の成果をまとめたモース以後の贈与の思想史の体系的叙述については、今後それを上記の利益の思想史との関連でさらに広い観点から記述できるように研究を続ける予定である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)