2013 Fiscal Year Annual Research Report
死を歌う:小アジア西部出土のギリシア語韻文墓碑銘における死・感情・感情戦略
Project/Area Number |
25884038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 崇 京都大学, 白眉センター, 助教 (50708683)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 死生学 / ギリシア / ローマ / 銘文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紀元前6世紀から紀元4世紀までの小アジア西部から出土した韻文のギリシア語墓碑銘を調査し、ギリシア人(ここではギリシア語話者と定義する)が個々の死のプロセスや死因(病死、戦死、産褥死、「たたり」による死など)にたいしてあらわした感情(悲しみ、怒り、誇り、喜びなど)と、その感情を表現する際に用いた戦略を明らかにすることを目的とする。本年度は、小アジア出土のギリシア語韻文銘文(大半は墓碑銘)を網羅的に収録したSteinepigramme aus dem griechischen Osten(ed. Merkelbach and Stauber 1998-2004, 5 vols. 以下SGOと略記)を分析した。具体的には、まずSGOに収録されている墓碑銘を抜き出し、そこに表現されている死因・死のプロセスに注目しながら、1)銘文発見の場所、2)推定年代、3)死者、4)銘文奉献者、5)死因・死のプロセス、6)関係する感情、7)レトリック、8)銘文が刻まれたモニュメント、の観点からデータベースを作成した。また、今年度科研費の繰り越し分で、2014年7月から8月にかけて、イギリス・オクスフォード大学での資料調査ならびにトルコ・アフロディシアス遺跡での現地調査をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は死のプロセスのデータベース化を当初の目的としていたが、これらについては、おおむね達成できたと考えている。また、それ以外の研究活動、特にトルコ・アフロディシアス遺跡での現地調査をおこなうことができたのは大きな収穫だった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、本年度にデータベース化した墓碑銘にたいし、特に死のプロセスとそれを表現するレトリックという観点から分析を加える予定である。
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