2013 Fiscal Year Annual Research Report
レッド・ウェーヴ・アートの拡大過程とオセアニア的集合性の構築をめぐる人類学的研究
Project/Area Number |
25884039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 文 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (30714191)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 文化人類学 / オセアニア島嶼域 / 芸術 / 民族誌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1990年代よりフィジーを中心に発展してきた絵画芸術のスタイルや世界認識(「レッド・ウェーヴ・アート」)が、オセアニア島嶼域各地へとひろがっていく動態を追跡・分析することにある。初年度である平成25年度は、以下のとおり文献研究と海外調査研究をおこなった。 1. 文献研究 オセアニア地域研究、人類学的芸術論にかんする文献研究をおこなった。とりわけ、地域的芸術の「スタイル」という類型概念の成立、芸術における身体論、現代芸術という形式がオセアニア島嶼域において確立していった歴史にかんしての考察を深め、取得データを理論的に位置づけていくための基盤を整えた。 2. 海外調査研究 ミクロネシア地域のパラオ共和国(12月~1月)、グアム(2月)、およびポリネシア地域のアメリカ合衆国ハワイ州(3月)にて海外調査をおこなった。パラオ共和国では、とりわけストーリーボードと呼ばれる物質文化/作品などを対象とした画像収集をおこないながら、そこに現われている図像的特徴とレッド・ウェーヴとの共通項にかんして考察をおこなった。また、オーラルヒストリーにおいて物質文化の担う役割にかんする知見を深めた。グアムでは、とりわけ観光市場で出回る商品に用いられている図像の観察・記録をおこない、そこに現われている図像的特徴とレッド・ウェーヴとの共通項にかんして考察をおこなった。アメリカ合衆国ハワイ州では、ハワイ州立博物館を中心として展開する現代アートシーンにかんする調査をおこなった。とりわけ、絵画芸術作品の画像収集をおこなったとともに、特定の主題やモチーフが多用される背景にかんするインタビュー調査などをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず海外調査研究として、ミクロネシア地域における現代芸術の中心地であるグアムやパラオ共和国にて、作品のデジタル画像収集を十分におこなえたとともに、オセアニア島嶼域のなかでも最大規模の現代芸術市場をもつアメリカ合衆国ハワイ州にて、画像収集やインタビュー調査などを十分におこなえたため。また文献研究においても、オセアニア島嶼域において現代芸術という形式が確立していった背景や、スタイルという重要な分析概念にかんする考察を十分におこなえたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度と同様の方法を採用しながらメラネシア地域、ポリネシア地域において調査研究をおこなっていく。さらに、レッド・ウェーヴ・アートの中心地であるフィジー首都スヴァにて調査をおこない、制作者たちの生活世界にかんする考察をおこなっていく。また文献研究などをとおして、スタイルという分析概念と身体論とを綜合する道を考察していく予定である。
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Research Products
(2 results)