2014 Fiscal Year Annual Research Report
ローマ字本キリシタン資料の偏在的子音分布から再検討する日本語形態・音韻論史
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25884041
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
竹村 明日香 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 助教 (10712747)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 音韻 / 子音 / 拗音 / 口蓋化 / 形態 / キリシタン資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キリシタン資料の日本語拗音節におけるローマ字綴りを韻律的側面(主にアクセント)から検討し、qio~qeoのように「i」と「e」の表記で揺れている箇所には、日本語の高低アクセントが関与している可能性があることを指摘した。具体的には、語頭で上昇調となる低アクセントの音節では「e」が多く現れるのに対し、反対に、語頭・語中末を問わず高平調や下降調となる高アクセントの音節では「i」の表記が多く現れることを明らかにした。この結果は、オ段拗長音の開音・合音のどちらでも等しく現れており、散発的な表記上のミスではなく、体系立った音声的要因によって記されていることが窺えた。一般的に聴音においては高アクセントが狭母音で聞き取られやすいことを勘案すると、これらは、キリシタン資料作成者であるポルトガル人の聴覚的要因により、高アクセントの音節が「i」で、低アクセントの音節が「e」で聞き取られ、記されたと考えられる。これまでの研究ではqio~qeoの揺れは調音上の問題に起因すると考えていたが、聴音上の問題も介在していることが明らかになった。 また、上代特殊仮名遣いのイ列・エ列とキリシタン資料の拗音節の分布が一致する要因についても検討を行い、筆記者の母語と日本語の音素数の相違が関与していることを確認した。 さらに中古から中世にかけての動詞の収集も行い、昨年度収集した上代語の動詞のデータと対照させて、「活用する行」における子音の偏在的分布についても追究した。結果、当初の予想とはやや異なる調査結果を得たが、従来行われていなかった通時的変遷を描き出すことには一定の成果を上げた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)