2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム人を対象とした新しい漢字・漢語学習指導法の提案
Project/Area Number |
25884042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
PHAN THI・MY・LOAN 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 助教 (10708704)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 漢語指導法 |
Research Abstract |
漢字の学習は日本語習得上で、最も難しいことだと訴えることをしばしば耳にした。そこにとどまらず、それを原因に日本語の学習を途中で止めてしまう人や嫌悪感や拒否感を覚え続ける学習者も少なくない。しかし、およそ7割を占めると言われる漢語由来の言葉を日常用いるベトナム人にとっては訓読みが無理でも音読みについてはなんとかなると思い、研究代表者は自分自身が漢字及び漢語を習う際の工程を思い出してみて、ベトナムの日本語教育機関で発表し確認したところ、ベトナム人日本語学習者が漢字及び漢語を習う際に次の4つの工程を通して覚えることがわかった。 1)当該漢字に当てはまる漢越音を覚える、2)当該漢字の意味を把握する、3)当該漢字の訓読み及び音読みを知る、4)3)で習った音読みを含む漢語熟語のうち当該学習者の日本語能力に相応しい熟語を習う。 また、外国語を習うにあたって、その言語の語彙の数を多く知っていれば知っているほどそのことばを豊富に表現できると言っても過言ではない。しかし、日本語の語彙の多くは漢字と漢字の組み合わせでできており、2字熟語が日本人の日常生活に多く出現しているため、このような種の熟語を初めて見た時にどのようにその読み方を判断するかベトナムの日本語教育機関の日本語学習者を対象に考察したところ、学習者は1)漢字の音読みを思い出し、2)2字の漢字の音読みを結合させてみた上で、3)辞書で確認するという工程を通して2字熟語の読み方を判断することがわかった。 これは、今後上述のベトナム語と日本語との間にある音声的な対応関係を活用してベトナム人日本語学習者にとって効率的、且つ系統的な漢語熟語を指導するテキストを作成する際の参考になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
25年度は現在所属している機関での勤務の1年目であり、ベトナム語で卒業論文を書くことになっているベトナム語専攻の日本人学習者に対してベトナム語によるプレゼンテーションの仕方の指導案を作成すること等やることが多くあり、本研究課題に集中することができていなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナム人日本語学習者によく見られる漢字・漢語学習に対する抵抗を解消しながら,ベトナム人が日本語の中の漢字・漢語を効率的、且つ楽しく学習できる方法を考案することが本研究の目的である。大きく分けて4つの作業を遂行する予定である。第一に、博士論文で考察・分析した日本漢字音と越南漢字音との間にある音声的な対応関係を整理した上で、その異同をより厳密に考察・分析すると同時に、その歴史的背景を考察する。第二に、ベトナム人日本語学習者向けの漢語指導法を提案する際のステップ設定、またそれぞれのステップで導入する漢字の選択方法を日本語教育機関での実践を踏まえて厳密に考察する。第三には、1および2で考察した結果に基づきベトナム人日本語学習者を対象とした最も効率的、且つ系統的な漢字・漢語学習指導テキストを作成する。最後に、作成したテキストを試用し、従来の指導法と比較・評価する。
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