2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25884044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 一人 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 講師 (40708202)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ミャンマー / カレン / 民族問題 / 民族 / 歴史観 |
Research Abstract |
本研究課題「ミャンマーのカレン民族問題に関する歴史研究」については、①タキン史観の流布・作用過程の解明、②1950年前後のカレン問題展開の精査、③民族問題の原因とされる英国植民地政府による民族優遇政策の実態解明、という3つの具体的課題を設定した。平成25年10月から平成27年3月までが実質的な研究計画期間であり、平成26年3月までの最初の半年の間に、①についての史資料収集とデータ整理・分析、そして研究会での発表報告の準備まで、②と③については一部の史資料の収集を行うことを目標とした。 まず、①を中心として②と③までを対象とした史資料収集は、平成25年12月から26年1月にわたる2週間ほどの第1回ミャンマー現地調査、そして平成26年3月中旬から下旬にいたる2週間ほどの第2回ミャンマー現地調査で遂行した。 とくに①についての史資料収集については、ヤンゴン大学中央図書館元司書のミンスエ氏(U Myint Swe)の協力を得て、タキン史観研究の基本となる良質の雑誌記事や古書籍などの文献資料を収集することができた。また②の史料収集は、英領植民地期の行政文書を所蔵する国立文書局(NAD)において行った。独立交渉期(1945~47年)から独立後1950年代にいたる史料収集を中心に行い、従来知られていない地方行政文書のいくつかを入手することができた。未調査のファイルがいくつも残されており、さらに通って調査と入手に努める必要がある。 このような調査によって得た資料の一部を利用し、①に関する研究会発表(平成26年4月19日に上智大学において開催のビルマ研究会全国大会)の準備を年度末まで行った。 最初の半年の調査・研究で、タキン史観の相対化というビルマ近現代史研究では新しく、重要な研究分野の第一歩を首尾よく踏み出せたと自己評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度中に2度の調査旅行とデータ整理・分析、そして課題①の研究会発表報告準備までを見込んでいた。最初の調査旅行が都合により平成25年9月から同年末に延期されたものの、最終的には計画のすべてを完了できた。また、平成26年4月に予定していた研究会発表に関する準備を(そして発表そのものも)予定通り完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に予定している研究計画、つまり、課題①の論文執筆、課題②と③に関する英国調査(9月)とミャンマー調査(3月)、そして課題②の発表報告準備については当面大きな変更なく、予定通りの実行を見込んでいる。
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