2013 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末イギリスの進化社会理論における〈機会の平等〉概念の展開
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25884051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
藤田 祐 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (90710830)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 思想史 / 西洋史 / ヴィクトリア時代研究 / 進化社会理論 / 社会進化論 / リベラリズム / 社会主義 / 機会の平等 |
Research Abstract |
当時の学術研究を取り入れながら生物進化論の観点から社会進化を論じたベンジャミン・キッド『社会進化』の分析を進めた。キッドは社会進化の進展に伴って宗教が大きな役割を果たすようになると同時に個人と社会が調和し平等が進展すると考えたが、彼の社会進化論における〈機会の平等〉概念をウォレスやスペンサーの理論との関わりで検討した。また、ウォレス、キッド、スペンサーに関する研究文献を検討し、研究史との関連で〈機会の平等〉概念に関わる彼らの理論を分析した。 6月に予定されている学会報告に向けて、キッドの『社会進化』において人口圧と生存競争という概念がどのような機能を果たしているかも分析している。人口圧と社会進化の関係、そして両者が〈機会の平等〉概念とどのようにつながっていくのかを考察しているところである。 当時の雑誌や新聞における〈機会の平等〉概念の展開を分析するために、日本国内で可能な範囲で雑誌論文と新聞記事の確認を進めた。まだ確認途上ではあるが、1890年代の新聞記事に「equal opportunity」が登場するのは、リベラリズムや社会保障との関連で議論される〈機会の平等〉よりも、主に中国市場の門戸開放を求める文脈であることが現時点では確認された。数は少ないものの本研究と同じコンテクストで「機会の平等」が使われている記事もあり、細かくコンテクストを確認していく必要性があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進展が予定よりも遅れているのは、まず対象となる思想家の一次テクストを読む時間が想定していたよりも確保できなかったためである。また、当時の雑誌と新聞の調査については、所属研究機関ではアクセスするのが難しく、大都市圏の国内研究機関に出かけなければならないので、一回の出張で調査できる範囲に限界があることも要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は効率よく時間配分を行ってスペンサー思想との対抗関係に焦点を合わせてキッドとウォレスの理論における〈機会の平等〉概念の展開を探っていく。今年度前半は1890年代における社会進化論の展開というコンテクストでベンジャミン・キッドの社会進化論を位置づけることを目指す。特に、主著『社会進化』における〈機会の平等〉概念に注目しながら、スペンサー思想との関係とウォレス思想とのつながりを探究する。 雑誌や新聞の分析については、国内における調査を継続しつつ夏に予定しているロンドンでの調査で集中的に資料収集と資料分析を進められるように調査計画を立てるようにする。 今年度後半には、思想テクストの分析と雑誌や新聞での議論の分析を関連づけて、18090年代の進化社会理論における〈機会の平等〉概念の展開について独自の見解を提起することを目指し、今年度末に研究成果を発表する。
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Research Products
(1 results)