2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代オスマン帝国における中央政府とアルメニア共同体:交渉と仲介者の分析から
Project/Area Number |
25884054
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上野 雅由樹 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 講師 (10709538)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 東洋史 / オスマン帝国 / アルメニア人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、4月から5月にかけての時期と8月にイスタンブルにて史料調査を行い、1850年代から1870年代にかけてのオスマン帝国において、非ムスリムの領分をめぐる枠組みがどのような展開を遂げたのかを論ずるための史料を収集した。主に首相府オスマン文書館とアタテュルク図書館で調査を行い、前者ではオスマン帝国の行政文書を、後者ではアルメニア語刊行物を閲覧した。特に、8月の調査時には、首相府オスマン文書館では外務省文書の、アタテュルク図書館ではアルメニア語単行書の公開が進んでおり、そのなかには研究テーマに関わる新たな史料も多数含まれていた。こうしたこれまで利用されてこなかった貴重な史料を閲覧することができた意義は大きいが、その公開は予想外のことであり、両者ともに分量が少なくないため、今後も継続して調査する必要が生じた。 2014年度には、日本語と英語で一度ずつ、それぞれ4月と9月に研究発表を行った。また、11月には英文で国際的な学術雑誌に論文を投稿し、2015年3月には英文論文が一点、刊行された。これらの研究成果は、オスマン帝国が近代国家化するなかで、非ムスリムの領分をめぐる枠組みがどのように形成され、機能していったのか、つまり、近代国家としてのオスマン帝国が近世的な秩序をいかに継承していったのかを明らかにすることに資するものであり、従来「ミッレト制」という枠組みのもので誤った理解が流布してきたオスマン帝国の非ムスリム統治方式を見直すことにつながる意義を持っている。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|