2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25884055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
松本 麻子 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (70708990)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国文学 / 磐城 / 内藤義概 / 和歌 / 俳諧 / 名所 / 近世 / 歌枕 |
Research Abstract |
磐城平(福島県いわき市平)城主、内藤義概(元和元年〈1619〉~貞享2年〈1685〉)の和歌について研究を行った。 はじめに、①内藤義概の和歌関係書がまとめられている『福島県史』や岡田利兵衛「内藤風虎」(「国語と国文学」第396号、1957年)の年表を参考に、内藤義概が残した和歌資料の全体像の把握に努めた。次に、②国立公文書館内閣文庫にて内藤義概の家集『左京大夫家集』、義概が主催した歌合『二十番歌合』『十五番歌合』の書誌調査を行い、写真撮影をした。③義概の歌道の師であった烏丸光広や、後水尾天皇・道晃法親王・烏丸資慶・中村通村・飛鳥井雅章・日野弘資ら近世を代表とする歌人たちの動向を調べた。近世初期の大名と堂上歌壇との関わりなども、国文学研究資料館等で調査した。④家集『左京大夫家集』の翻刻を行った。⑤家集の詞書などから、義概と交流のあった歌人について調査し、義概との人間関係を整理した。⑥義概の和歌活動が、後に義概が没頭した俳諧にどのような影響を与えたのかを検討した。その結果、義概は磐城国の地名を多く和歌や俳諧に詠み込み、その土地を新しい名所として「歌枕」もしくは「俳枕」として作品に取り込んでいた、という点を明らかにした。⑦ ⑥の内容を研究会にて二回発表し、他の研究者の意見を聞いた。⑧ ⑥の結果や『左京大夫家集』調査の報告を「いわき明星大学大学院人文学研究科紀要」(第12号、2014年3月)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に提出した研究計画は次のようである。①磐城平城主内藤義概の和歌資料の写真撮影 ②上記資料の翻刻 ③上記資料の注釈 ④内藤義概と交流した水戸藩の文芸活動の理解 ⑤内藤義概に影響を与えた近世歌壇の様相の把握 ⑥翻刻および上記の調査の報告 ⑦ホームページによる、資料および研究内容の公開 ⑧いわき明星大学が主催する福島県いわき市の公開市民講座のような場で、「内藤義概の和歌と文芸」といった内容の講座を開催。 このうち、①~③までは25年度に達成し、④.⑤に関しては今年度引き続き研究を行う予定である。⑥は研究成果を「いわき明星大学大学院人文学研究科紀要」(第12号、2014年3月)に掲載した。また、予算の都合上⑦は見送らざるを得なかった。また、公開講座については、今年度行う予定である。従って、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、早稲田大学図書館や久留米市立中央図書館・延岡内藤記念館を訪れて、調査・撮影を行いたい。調査が終了すると内藤義概の和歌資料がほとんど確認できたことになる。また、他の資料と国立公文書館内閣文庫蔵『左京大夫家集』との校合を行い、伝本の関係も明らかにする。義概と交流した人々に関する調査を前年度より継続して行い、内藤義概や内藤家家臣と水戸家の文人との交流を明らかにする。また、義概は烏丸光広を歌道の師としていたため、近世初期の堂上歌壇との関係も調査する。いわき市にある飯野八幡宮所蔵の「飯野八幡宮遷座奉納五十首和歌」の書誌調査と撮影、注釈作業などもおこなってゆく予定である。
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Research Products
(3 results)