2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25884055
|
Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
松本 麻子 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (70708990)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 日本文学 / 内藤義概 / 風虎 / 名所 / 和歌 / 俳諧 / 磐城平藩 / 武家 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「磐城平城主内藤義概の和歌文芸について」において、磐城平藩の城主、内藤義概(1619~85年)の和歌文芸を中心に調査を行った。その結果、俳諧作者「風虎」として著名な内藤義概は、和歌においても近世初期を代表する武家歌人として評価されていたことが判明した。義概は、和歌関係の辞書類には立項されることのない「歌人」であるが、徳川光圀の命で編纂された『正木のかつら』(延宝二年〈1674〉成立、山本春正序)には10首、正徳元年(1711)に豊臣秀三によって撰ばれた『和歌視今集』には13首の和歌が入集している。また、元禄二年(1689)に成立したと思しい『近代百人一首』(伊達文庫本他)、同年成立の『近代一人一首』、元禄四年成立の『一人一首』(刈谷図書館本)、同年成立の『若むらさき』など、義概没後まもなく成った撰集にその名を確認することができる。 また、義概の家集『右京大夫集』(内閣文庫本)や義概の主催した歌合などを調査した結果、義概とその家臣たちは歌枕とは認められない磐城の地名を和歌や俳諧に詠み込んでいたことがわかった。磐城にある風光明媚な土地の名を、新しい歌枕として和歌・俳諧に取り込むことで、義概は磐城国にも名所となり得る場所が存在することを示したと言える。 義概と交流した武家に、鍋島直能(1623~89年、肥前小城藩藩主)・中山信治(1628~89年、常陸松岡藩藩主)・細川行孝(1637~90年、肥後宇土藩藩主)・中川久恒(1641~95年、豊後岡藩藩主)・小笠原長勝(1646~82年、豊前中津藩藩主)・田村宗永(建顕とも、1656~1708年、陸奥岩沼藩藩主、後に一関藩藩主)らがいることも知り得た。以上の調査結果から、今後は義概と同時代の大名が文芸を通じどのように交流したのか、という問題をさらに掘り下げて行く必要を感じた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)