2013 Fiscal Year Annual Research Report
南米チリにおける海藻資源利用ー生産・流通・消費に関する基礎的研究ー
Project/Area Number |
25884072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
横山 貴史 神奈川大学, 人間科学部, 助教 (70710151)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 海藻 / アルギン酸 / 食文化 / 漁業 / チリ |
Research Abstract |
本年度は2013年8月30日から2014年3月31日を研究期間として、チリにおける海藻利用に関して、①文献調査、②現地でのジェネラルサーヴェイの2点を遂行した。 ①では、チリでの海藻採取や海藻利用、資源管理などに関する国内外の文献を渉猟した。数は全体的に多くはないものの、資源管理政策や食文化に関連して、いくつか有益な文献を得ることができた。しかし、食文化について近年の動向を網羅しているものは無い。また、チリでの海藻利用として看過できない現象として、アルギン酸製造業があるが、日本企業の社史などでその沿革が概括的に述べられているにすぎず、これらについて現地調査の必要があると実感した。 以上を踏まえて、2014年2月18日から3月5日にかけて海藻利用に関する基礎的把握のための現地調査を行った。主な滞在先は、中部から北部にかけてのサンチアゴ、バジェナル、アリカである。調査を通じて、①アルギン酸製造業の実態と原料調達、②食文化と近年の変化について知見を得ることができた。具体的に、①では、日本企業でありチリでアルギン酸製造を行っているkimica chileの協力を得、サンチアゴ近郊パイネのプラント見学および事業内容や海藻調達に関する聞取り調査、北部沿岸のHuascoにおいて海藻採取風景ならびに海藻採取人(アルゲーロ)への聞取り、北中部バジェナルにおいてアルギン酸原料加工・輸出を手がけるM2 plantの見学を行った。また、②ではサンチアゴ市内の中央市場およびベガ市場、ならびに各地の市場での見学・聞取りを通じて海藻食文化やその動向について把握した。チリでは、Cochayuyo、Hulte、Lucheと呼ばれる3種の海藻が主として食用に用いられている。しかし、Cochayuyoに比べてLucheは近年消費量が減少しているなど、チリの海藻食文化にも変化が生じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査項目に加えて、チリの漁業に関する統計資料などのデータも入手することができ、かつ研究計画では意図していなかったような現地企業やチリ漁業局とのコンタクトがとることができ、順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年集めたデータを整理するとともに、生産量などに関するデータの補足、海藻資源管理に関わる方策の補足を文献調査や現地調査を通じて行いたい。さらに、昨年度は訪れることができなかった食用海藻の生産地であるチリの南部地域で本研究課題に則った現地調査を行いたいと考えている。さらに、これらに加えて昨年度の調査を通じて課題が見られたことで、新たに調査地域・対象を増やしたいと考えている。 具体的には中国・青島におけるアルギン酸加工業ならびにコンブ養殖業である。チリのアルギン酸加工業への聞取り調査の中で、近年、原料調達において中国の影響が高まっており、その背景としては中国国内で養殖コンブがアルギン酸原料から食用に転換したことがあるという知見を得た。そこで、それらの因果関係を明らかにするために、中国・青島で調査をしたいと考えている。 中国・青島での調査は、研究代表者の知人に中国・青島の大学で教鞭をとる人物がいることから、現地企業とのアポイントなどにおいては円滑に進むと想定している。また、旅費代も大きなものでは無く、現在の支出計画を若干調整すれば、本研究課題の研究計画に支障を出さない範囲で研究費を捻出することは可能である。
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Research Products
(2 results)