2013 Fiscal Year Annual Research Report
クリティカル・シンキングにもとづいた道徳教育プログラムの開発
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25884088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
上村 崇 福山平成大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50712361)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 道徳教育 / クリティカル・シンキング / 倫理学 / 道徳心理学 / 道徳教育の歴史 |
Research Abstract |
平成25年度は、日本の道徳教育に批判的思考力(クリティカル・シンキング)の教育プログラムを導入することを研究目的に掲げた。具体的には、①「日本における道徳教育の歴史的な変遷の把握」と②「道徳教育と道徳心理学の関連性の把握」を研究計画として掲げた。 ①に関しては関連図書の購入及びその読解・分析を実施している。読解・分析のなかで道徳教育における「道徳性の涵養」の目標が、その時々の時代状況を反映したものであり、道徳教育の実施はある種の政治性を帯びていることが明らかとなってきた。こうした道徳教育の歴史のなかで明らかになってきた政治性を客観的に検討することが心情主義的な道徳教育を批判することにもつながり、ひいては平成26年度の教育課題であるクリティカルシンキングを教育プログラムに導入するうえでの指針を示すことになる。 ②に関しては関連図書の購入及びその読解・分析を実施している。これまでの日本の道徳教育の実践者が、道徳心理学的な視座から自らの道徳教育を実践する立場を理解することは少なかった。道徳心理学の内在主義(道徳的な行動の理由は心の内側にある)・外在主義(道徳の理由は心の外側の教育や強制力により形成される)の区分を道徳教育の内部に位置づける試みを行った。また、科研の研究会を実施し、道徳心理学と道徳教育について京都大学文学研究科の杉本俊介氏を招き、多数の研究者と道徳教育に関する意見交換を行った。 研究実績の成果の一部は、平成26年度に開催される日本哲学会 哲学教育ワークショップの報告者として公開する。また、日本道徳教育方法学会や広島哲学会等の学会誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画 ①「日本における道徳教育の歴史的な変遷の把握」と②「道徳教育と道徳心理学の関連性の把握」に関して、①・②とも課題図書の収集と分析ともに順調に進んでいる。さらに、①・②の実績により、26年度のクリティカルシンキングを道徳教育のプログラムに導入する道筋が明らとなり、26年度へ研究の接続も確実になってきているため、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、道徳教育のプログラムにクリティカル・シンキングを導入するという実践的な課題が大きな研究テーマになってくる。そのために、平成25年度の研究成果を広く学会に公開するとともに、平成25年度は1回であった研究会を他の学会や研究会との連携をとりながら開催していくことで、研究を推進していく。具体的には、科研研究会の開催、日本哲学会での哲学教育ワークショップでの報告、初等・中等学校の教員も多く参加している「学校と道徳教育(略称Same)研究会]での教育プログラムの公開実践、日本道徳教育方法学会の雑誌への投稿などによって、研究の成果の発表と研究者・教育者からの批評、およびそれらの批評による改善を考えている。
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