2014 Fiscal Year Annual Research Report
サルデーニャ語の動詞における形態統語論の通時的研究
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25884091
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Research Institution | Shiga Junior College |
Principal Investigator |
金澤 雄介 滋賀短期大学, その他部局等, 講師 (70713288)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 言語学 / サルデーニャ語 / ロマンス語学 / 歴史言語学 / 情報構造 / クリティック |
Outline of Annual Research Achievements |
いくつかのロマンス諸語では、基本語順の文、つまり直接/間接目的語が動詞の項の位置に置かれるとき、その目的語をクリティックが同一の文中で先取りすること、すなわち「クリティックの重複」が可能である。平成 26 年度は、古サルデーニャ語文献 Carte Volgari (1070-1226)を史料として、クリティックの重複が生じる諸条件について記述を試みた。 先行研究では、クリティックの重複の有無は目的語の意味的特徴に依存すると考えられてきた。すなわち、目的語が [+有生] あるいは [+定] によって特徴づけられるとき、重複が生じるというのが一般的な見方であった。しかしながら、古サルデーニャ語では、上記の 2 つの特徴を持っていないにも関わらず、重複が生じる例が存在する。そこで本研究では、古サルデーニャ語におけるクリティックの重複について、(a) Clitic Left Dislocation(左方移動構文)との統語論的・語用論的差異、(b) [+有生] あるいは [+定」によって特徴づけられる直接目的語に付加される対格前置詞 a との関連、(c) 情報構造の 3 点を視野に入れた考察をおこなった。 考察の結果、クリティックの重複は、目的語の意味的特徴よりも、目的語のトピック性に大きく関連していることを主張した。また、対格前置詞 a が付加されない直接目的語においてもクリティックの重複が観察されることを示した。 加えて本研究では、古サルデーニャ語におけるクリティックの重複は、純粋に一致の機能のみを担っているのではなく、トピック性の表示という談話的な機能を保持していることから、文法化の過程の中途段階にあるという可能性を示唆した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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