2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25884092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
村瀬 智之 東京工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (00706468)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 思考力 / 哲学教育 / 方法知 |
Research Abstract |
本プロジェクトの目的は「思考力とは何か」という問いに答えることである。そのために方法知にかんする哲学的研究を推進すること、また、これまでの研究成果をもとに技術開発にかかわる創造的思考力のあり方を分析し、創造的思考力を涵養するための教育方法の開発を具体的目的としている。 平成25年度にはこれらの具体的目的を達成するために以下のことを行った。一つ目は、関連文献の収集と精読、および、研究会の開催と参加を通して参加者からの意見収集等を行うことである。特に知覚の哲学にかんする文献や因果性の理解に対して傾向性の役割を重視する傾向性主義の議論の批判的検討を中心的課題とした。研究会等を通して、方法知にかんする哲学的研究をより深化させることができた。二つ目は、授業実践にかんする研究会等への参加、および、授業実践の調査である。首都圏だけではなく、全国で行われている哲学教育における先進的な授業方法にかんする研究会等を通して、実際の授業において問題になる点や授業案の検討等を行った。また、実際に現地を訪れ授業見学も行い、実施している教員に聴きとり調査・意見交換等を行った。三つ目は、教育方法の実践である。研究代表者の勤務校での授業を通して教育方法の開発と実践を行うだけではなく、何名かの研究者とともに共同で授業を実施することでより実践的な教育方法の開発と検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)実践的研究にかんして。当初の研究計画においては初年度(平成25年度)は文献研究等を中心とし、授業方法にかかわる実践的研究は主に二年目(平成26年度)を予定していた。しかし、研究会等を通して全国で先進的な授業をしている実践者と知り合い、動向に詳しい研究者と情報交換等をした結果、早い段階から実践的研究を推進することができた。また、このような交流を通して、協働して授業を計画し実施するといった、実践的研究においては非常に重要な具体的な成果をあげることができ、しかも、それらの実践の反省点を踏まえ、今年度に実施可能ないくつかの授業プログラムについても具体的な時期や場所なども含め準備をことができた。(2)また、方法知にかんする理論的研究についても研究計画作成時には公開されていなかったいくつかの論文が公開されたこともあり、本研究計画にとって重要な方法知における認知の役割について新たな洞察を得ることができ、研究が計画通り順調に進んでいる。(3)一方、技術開発にかかわる創造的思考力の研究にかんしては、創造的思考力そのものの研究の前に、技術開発を通して作られる人工物(技術的人工物)にかんする研究をする必要性があることが判明した。そのため、技術的人工物にかんする哲学的研究を現在は進めている。この点を研究の遅れと捉えるべきか分からないが、当初の研究計画での創造的思考力そのものというよりも、その基盤となる部分を研究しているという意味で、「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の実績を踏まえ、以下のように研究を推進していく。(1)実践的研究にかんして。昨年度当初の計画以上に研究を進めることができたため、その一部を教育実践手法を主たる内容とする論文として研究成果を広く公開する。また、それ以外の課題についても、その解決のための新たな手法を試行し有効性について検証をしていく。具体的には小学校・中学校・高等学校等の教員と連携を図りながら授業を実施する。同時に、それぞれの現場の特徴に則した形での授業手法の開発も行う予定である。特に、工業高等専門学校という現場での特徴を活かした授業実践手法の開発に昨年度以上にとりくんでいく。(2)方法知にかんする理論的研究については、当初の計画通り「知覚」にかんする哲学的議論を精読しながら研究を推進する予定である。「現在までの達成度」にも記したように、認知の役割についても新たな研究が提出されているため、その点も考慮にいれて研究に取り組む予定である。(3)創造的思考力にかんする理論的研究にかんしては、技術的人工物についての研究を推進する必要があることが判明したため、当初の研究計画の一部を変更し、技術的人工物にかんする研究を推進する予定である。ただ、これまでの研究の蓄積もあるため、技術的人工物にかんする研究を通して、研究計画の一部を達成できると考えている。
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Research Products
(1 results)