2013 Fiscal Year Annual Research Report
母親の子ども表象と子どものアタッチメント:妊娠期から生後6歳に亘る縦断的検討
Project/Area Number |
25885010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
本島 優子 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (10711294)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 妊娠期 / 子ども表象 / アタッチメント / 縦断研究 |
Research Abstract |
本研究は、妊娠期における母親の子どもについての表象が生後6歳の子どものアタッチメントとどのように関連するのかについて実証的検討を行うことを目的としたものである。研究協力者は妊娠期からの長期縦断研究に参加している母子約50組であった。妊娠期に「Working Model of the Child Interview」(Zeanah & Benoit, 1996)を用いて母親の子どもについての表象に関して評定を行った。生後6歳頃に家庭訪問を行い、約2時間程度の子どもの行動観察を行い、アタッチメントQソート法を用いて子どものアタッチメント安定性について評定を行った。現時点でデータ収集およびデータ分析を終えている母子19組に関して分析を行ったところ、妊娠期において子どもについての表象が「安定型」(子どもについての描写が豊かで一貫しており、子どもへの情緒的関与や受容が高い)であった母親の子どもは、「非関与型」(子どもについての描写が乏しく、情緒的関与が低く拒否的である)や「歪曲型」(子どもについての描写が一貫しておらず、まとまりがなく、表象内にある種の歪みが認められる。(特にネガティブな)感情表出が顕著である)であった母親の子どもよりも、生後6歳時点での母親に対するアタッチメントの安定性がより高い傾向にあったが、統計的な有意差には至らなかった。統計的有意差には至らなかったものの、今後サンプル数を増やして分析を行うことで、妊娠期における母親の子どもについての表象が生後6歳における子どものアタッチメント安定性と有意に関連する可能性も出てくると考えられる。さらにデータ収集およびデータ分析を進めることで、妊娠期における母親の子どもについての表象が生後の子どものアタッチメントに及ぼす長期的影響について最終的結論を得ることが今後の課題といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで生後6歳の調査データの収集をほぼ終えており、残り数ケースに関して調査を実施するのみである。データ分析はこれから集中的に行う予定であり、おおむね当初の計画通り進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までデータ収集はほぼ完了していることから、今後はデータ分析を中心に進めていく。特に、母親の子ども表象の評定については、トランスクリプト作成を迅速に進め、早急に分析に取り掛かることができるように準備を進めていく予定である。全サンプルに関して分析を終え、本研究の最終的結論を得ることを目標とする。また、得られた実証的知見について国内外の学会で発表し、主要ジャーナルに論文投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)