2013 Fiscal Year Annual Research Report
レジリエンスを高める臨床心理学的介入プログラムの開発
Project/Area Number |
25885025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 真理 東京大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (50707411)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | レジリエンス / アセスメント / 資質的要因 / 臨床心理学 / 介入プログラム / セルフヘルプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでその個別性の高さから困難であった、レジリエンスを高めるための臨床心理学的介入プログラムの開発に向けて、個人がもともと有しているレジリエンス要因の特徴に合わせて異なるアプローチを提供できるプログラムを考案することであった。平成25年度は、個人のレジリエンスのアセスメントし、効果的なサポートにつなげることを可能にするツールを作成するために、(1)資質的レジリエンスのアセスメント、(2)潜在的レジリエンスのアセスメントの2つを作成し検討を行った。 (1) 資質的レジリエンスのアセスメント:二次元レジリエンス尺度(平野、2010)を用いた先行研究の調査データの再分析を行い、カットオフポイントを設定した。資質的レジリエンス要因のカットオフはいずれの下位尺度においても9点 / 10点であると考えられたため、4つの下位尺度のうちいずれかが10点以上を示した場合と、いずれも10点未満であった場合に、異なるサポートにつなぐこととした。 (2) 潜在的レジリエンスのアセスメント:P-Fスタディを参考に12の落ち込み場面を作成し、大学生500名、社会人500名を対象に、各場面に対して絵の中の人物の気持ちがどうしたら楽になるかを自由記述で回答するように求めた。KJ法を用いて分析を行った結果,何かが物理的・心理的に満たされない状況において“どのような回復を志向するか”という点で,【復元】【受容】【転換】の3つのグループに分類することができ,投映法によって個人のレジリエンスの志向性(レジリエンス・オリエンテーション)を測定できる可能性が示唆された。 これらの知見をもとに、個人のレジリエンス状態によって効果的なワークにつなげるツールを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レジリエンス・アセスメントツールに関しては、順調に進展している。一方で、プログラム内容の考案については、国内外で既に開発されている教育プログラムの情報を広く収集しながら慎重に進める必要があり、次年度以降に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度開発したレジリエンス・アセスメントツールに加えて、資質的レジリエンスの豊かな人に向けたワークと,資質的レジリエンスの少ない人に向けたワークの両方を備えたセルフヘルプ・レジリエンス支援プログラムを作成した上で、上記アセスメントおよびプログラムをwebサービスとして実装し、実証試験を通じて効果を検討する予定である。
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