2013 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の企業におけるコーポレート・ガバナンスのモニタリングの有効性
Project/Area Number |
25885036
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上村 浩 一橋大学, 大学院商学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (10710189)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 内部統制監査 / コーポレート・ガバナンス / 内部統制の重要な不備 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本企業のコーポレート・ガバナンスにおけるモニタリングの有効性について、特にガバナンスの独立性および専門性に焦点を当てて、これを検証することである。具体的には、日本企業のガバナンスの独立性および専門性を測定し、これらと内部統制の質および質の改善との関係を検証することにより、モニタリングの有効性を考察する。 平成25年度は、第1に日本の全上場企業のコーポレート・ガバナンスの独立性および専門性に係るデータ、特に取締役と監査役の属人データ(社外性および経歴)を3年分入手し、それぞれをデータ・ベース化した。第2にこれらのデータを利用することによって、コーポレート・ガバナンスの質と内部統制の質との関係について統計的手法を用いて分析した。第3に、検証結果を論文(投稿論文1)としてまとめ、平成25年11月に開催されたAsian Pacific Conference on International Accounting Issues (APC)に投稿し、発表を行った。 さらに、APCにおけるフィード・バックに基づいて投稿論文1を修正し(投稿論文2)、これを平成26年1月にアメリカ会計学会(平成26年8月開催)に投稿した(この論文は受理された旨の通知を受け取っている)。最後に、投稿論文2について、追加データを考慮した修正版を作成し(投稿論文2 修正版)、これをInternational Journal of Auditing に投稿した。平成26年度は、アメリカ会計学会および投稿先からのフィード・バックに基づいて、投稿論文2の修正版を完成させる。尚、完成版は平成26年度中に上記ジャーナルに受理されることを目的としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は大きく4つに分類される。第1に日本の上場企業のコーポレート・ガバナンスに係るデータを収集しこれをデータ・ベース化することである。第2にこれらのデータの分析を行い、その結果を論文としてまとめることである。第3にまとめた論文を海外の学会に投稿し発表することである。最後に学会発表におけるフィード・バックに基づいて論文を再考し、修正したものを海外のジャーナルへ投稿することである。 これら4つの計画については平成25年度中に達成しており、この意味から当初研究目的は概ね順調と判断している。また平成26年の計画について、当初計画からの大きな変更はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、まずアメリカ会計学会(平成26年8月開催)の発表を行う。既に論文は受理されており、ここでのフィード・バックに基づいて論文の完成を目指す。また、論文の完成にあたっては、平成25年度(2月)に投稿したジャーナルからのフィード・バックも併せて考慮する。 本研究の目的は、わが国のコーポレート・ガバナンスのモニタリングの有効性について検証することにある。現段階の検証結果は、現在わが国で議論されている取締役の社外性の問題(例えば社外取締役設置の義務化等)に対して、いくつかのインプリケーションを有する。現段階の検証結果は、内部統制の質の改善にはCEOの倫理的価値観が大きく影響する統制環境の再構築が必要であり、これを促進するものはガバナンスの独立性というよりはむしろ専門性であることを示している。この結果は、今後の日本のコーポレート・ガバナンスの方向性を議論していく上で重要な視点である。 最終的な投稿論文においては、現在わが国でコーポレート・ガバナンスがどのように議論され、また何を問題としているのかについて丁寧に説明し、本研究の結果が現在規制当局が目指すガバナンスの方向性と整合的なものであるかどうか、また異なるとしたらそれは何故かについて十分議論する必要があると考えている。
|
Research Products
(1 results)