2013 Fiscal Year Annual Research Report
学校選択問題における政策分析:マッチング理論によるアプローチ
Project/Area Number |
25885037
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
熊野 太郎 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (00700494)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 学校選択問題 / アファーマティブアクション政策 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本年度は学校選択問題へのアファーマティブアクション政策の効果に関して理論分析を中心に行った。その結果、別モデルによる既存研究と同様に強い結果は得られなかった。しかしながら、既存研究とは異なるモデルを用いたとしても異なる結果が得られなかったということは、アファーマティブアクション政策の効果が理論的には決定的に言えないという頑健性を示しているかもしれない。 一方で、本研究の派生結果として、本研究の主たる対象メカニズムではないが一般にも使用されているボストンメカニズムに関する結果が得られた。その結果は "Strategy-proofness and stability of the Boston mechanism: an almost impossibility result" (2013) として Journal of Public Economics に掲載された。 また Boston College の小西秀男先生をお迎えして本研究に関する様々な意見交換を行った。小西先生はマッチング理論のみならず、公共経済学などの他分野にも精通しておられるため、本研究の核となる既存研究とは異なるモデルにおける政策がもたらす厚生変化の分析法について多大な助言を得られた。 来年度は当初の計画にある通り、定量的分析を行う予定である。シミュレーションによってアファーマティブアクション政策がもたらす効果をより明確にできるであろう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度より本務校において本格的に講義を始めたため、当初計画した以上にそれらの準備に時間をとられてしまったことが主な要因と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画通り、アファーマティブアクション政策の効果を定量的に分析する。 シミュレーションの方策は、学校選択問題を1つ固定した上で、学生の選好と学校の優先順位をランダムに発生させ、その優先順位をもとにアファーマティブアクション政策をランダムもしくはある法則性をもたせて、政策前と後のもとでの学生最適マッチングの厚生を比較する。これまでの理論研究より明らかな通り学生の厚生に対する決定的なことは言えないが、一方で、どの程度の「割合」の学生がどの程度「厚生改善」したかを明らかにしてく。 また定量分析を主とする研究者との意見交換を予定している。主に夏と冬を用いて十分な時間を確保できるようにしたい。これらの意見交換を通して、より分析の精度を上げられることを期待している。 研究計画にあるように、成果を発表する場として国内外のセミナーおよびカンファレンスへ積極的に参加する。研究期間内に成果を国際ジャーナルへ投稿したいと考えている。
|