2013 Fiscal Year Annual Research Report
自立したカリキュラム開発を行うシティズンシップ教師に関する国際比較研究
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25885047
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
川口 広美 (前田 広美) 滋賀大学, 教育学部, 講師 (80710839)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 教育学 / シティズンシップ教育 / カリキュラム開発 / 社会科教育 / 教科教育学 |
Research Abstract |
本研究は, 自立的にシティズンシップ教育カリキュラムを開発できる教師,またその支援のあり方を検討することを通し,変動する社会に対応したより良い教師育成システムを解明することを目的としている。その際,大学での教員養成や現職教師研修で行われる「A.教師教育プログラム」,それを受ける「B. 教師・実践者」,そしてAとBを繋ぎ,そのプログラムを実施や支援を行う「C.支援者」の視点から分析検討を行う。 本年度の成果は,大きく以下の3点に総括される。第1に,アメリカにおけるカリキュラム開発に関する調査を実施できた点である。B.ルービン,B.ジャスティス氏による協力の下,ニューブランズウィックで5日間調査を行い,具体的にどのようなカリキュラム開発を行えるプログラムを実施しているか,そのプログラムを受講した学生達が教師になり,どのように各学校で社会科カリキュラムを開発・実施しているかを聞き取ることができた。なお,本データは,部分的に分析を行っている。第2に,日本におけるカリキュラム開発についての共同研究を実施できた点である。ある高校において,年間の日本史カリキュラムを設計・実行していくことを通して,日本の教師がカリキュラム開発に対してどのようなことを考え,何が課題であるのか,その際,どのような支援が必要なのかが明らかになった。この研究に関しては,既に学会発表・論文化を終えた。第3に,イギリス・アメリカにおけるカリキュラム開発に関して,文献調査を実施できた点である。 以上の研究から,イギリス・アメリカにおいては,日本と同様に国家カリキュラムは存在しているが,その受け止め方や活用の仕方は各地域・学校・教師に解釈が開かれていること。日本の教師は実際は長期間のカリキュラム開発を行っているが,それは無意識的に行っており,その自覚化には支援が必要であることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「当初の計画以上に進展している」と判断した理由は,大きく3点ある。 第1に,自立したカリキュラム開発における支援のあり方が,1事例ではあるもののその実態がおおよそ解明されてきた点である。プログラムだけでなく,実際にプログラムを運営する支援者と共に,それを活用する実践者という3側面からデータを収集できたことは大きい。これにより,システムとしてどのようなものが必要かが明らかにできた。第2に,当初は計画していなかった日本側の調査が実行できたことである。日本におけるカリキュラム開発を施行したことにより,日本でのカリキュラム開発を行うにあたり,どのような課題があり,支援が重要かを具体的に探ることができた。第3に,文献調査を基に,日本・アメリカ・イギリスを比較するための基礎データがそろった点である。次年度以降も,この成果を基にして,さらに調査を追加し,内容を深めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2014年度においては、主に次の3点について実行することにしたい。第1に,2013年度に実施したアメリカ調査に引き続いて,イギリスでの実地調査を行うことである。「A.教師教育プログラム」,「B. 教師・実践者」,そしてAとBを繋ぎ,そのプログラムを実施や支援を行う「C.支援者」の視点からデータを収集する。第2に,アメリカ・イギリスのカリキュラム開発システムに関するデータを比較し,独自性と共通性を明らかにすることで,より相対的な視点で検討することである。第3に,日本の課題を踏また上で,第2の成果を活用し,自立したカリキュラム開発を行える教師教育システムを提案することである。
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Research Products
(2 results)