2013 Fiscal Year Annual Research Report
定型発達者と広汎性発達障害者における表情検出の神経基盤の解明
Project/Area Number |
25885049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 玲子 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (20713043)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 表情検出 / 感情 / 視覚探索課題 / 事象関連電位 / 逆表情 / EPN |
Research Abstract |
ヒトは、表情を通じて相手の心的状況を読みとることで、相手が次にとり得る行動を予測したり、相手に対する応答を準備したりする。このため、怒りや幸福といった感情を表す表情の素早く正確な検出は、ヒトの対人コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。これまでの研究から、感情表情は中性表情に比べて素早く検出されることが明らかにされてきた。しかし、その神経基盤は明らかでない。また、広汎性発達障害は表情を通じた対人相互作用の問題が顕著であるが、その行動・神経メカニズムは明らかでない。 平成25年度は、感情表情の素早い検出における神経基盤を明らかにするために、定型発達者20名を対象として、複数の中性表情の中から一つの怒り・幸福を表す感情表情、または視覚変化量が統制された逆表情を検出する視覚探索課題遂行中に、脳波計測を行った。また、各表情刺激に対する参加者の主観感情も計測した。その結果、感情表情は逆表情よりも高く参加者の感情を喚起し、逆表情は中性的な感情を表す表情として認識された。また、感情表情は逆表情より素早くかつ正確に検出された。感情処理に関与して刺激呈示後200~400ミリ秒にみられる事象関連電位(early posterior negativity; EPN)が、逆表情に比べて感情表情検出時に増幅された。さらに、EPNの増幅は検出の素早さ・正確さ、感情喚起の高さと対応していた。これらの結果から、感情表情は、表情のもつ情動要因よって素早くかつ正確に検出され、このような効率的な感情表情の検出には、刺激呈示後約200~400ミリ秒に惹起される脳活動が関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にしたがい、定型発達者を対象として表情検出課題遂行時の脳波計測実験を行い、順調にデータを取得できた。また、結果を論文としてまとめて投稿し、採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
広汎性発達障害者を対象とした表情検出課題遂行時の行動・脳波計測を行う。また、比較検討のために必要なデータを定型発達者を対象に追加収集し、解析する。
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