2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会保障制度としての成年後見制度の基盤整備に関する研究-ドイツとの比較から-
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25885052
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 恭子 島根大学, 法文学部, 准教授 (50709128)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 成年後見制度 / ドイツ / 福祉の再市場化 / 社会保障制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第1に、社会福祉基礎構造改革を経て社会保障制度が今どのような方向にむかっているか、その全体像を明らかにし、第2に、社会福祉サービスの利用方法が措置制度から契約制度へと転換した中での、成年後見制度の意義と必然性を理論的に整理し、第3に、日本の成年後見制度の実態にかかわる問題を明らかにし、第4に、ドイツの成年後見制度の運用の実態を把握し、それを支える社会保障制度の基本構造を明らかにし、最後に、日本における社会保障制度としての成年後見制度の枠組みのありかたを政策提言することにある。本研究では、ドイツの成年後見制度の現実の解明にとどまらず、それを支える社会保障制度としての成年後見制度の全体像を示すことにより、日本における社会保障制度としての成年後見制度の方位を探ることを目指した。 本研究は、社会福祉サービスの「再市場化」の流れの影響を受ける社会保障制度としての成年後見制度の意義と必然性を、経済学的な立場から示すことができた。また、社会保障制度としての成年後見制度の問題点や課題を実証的に検証することができた。さらに、ドイツの社会保障制度の基本構造を分析し、成年後見制度の実態を把握することで、日本での社会保障制度としての成年後見制度を支える基盤整備に向けた政策提言を行うことができた。とくに、成年後見制度の必要性の高い、認知症、知的障がい、精神障害など判断能力が十分でない人々にとって、これらの政策提言は、社会的要請に応えることができる点で意義が大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、社会福祉サービスの「再市場化」の流れの中での成年後見制度の実態にかかわる問題について、ドイツでの現地調査を基礎に明らかにすることができた。 具体的には、介護保険制度の創設に至る一連の社会福祉基礎構造改革をめぐる文脈を制した。そして、社会福祉サービスの「再市場化」の流れの影響を受ける成年後見制度の意義と必然性を、経済学的な立場から理論的に示すことができた。 第2に、日本の成年後見制度の実態にかかわる問題について。現地調査と実証的な分析を基礎に明らかにすることができた。 第3に、ドイツでの現地調査では、実態調査を行い、ドイツの社会保障制度と成年後見制度の関連性について明らかにすることができた。 以上で明らかになったことを基礎に、日本での社会保障制度としての成年後見制度を支える枠組みのあり方について政策提言に結びつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の方策については、成年後見制度を支える枠組みのあり方について、介護保険制度との関連から理論的、実証的に検証することである。また、成年後見制度を支える枠組みとして、成年後見制度を支えるマンパワー、専門職等の人材確保のあり方について検討することも課題である。
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Research Products
(6 results)