2013 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカ内戦における領域統治と社会資本・制度に対する影響
Project/Area Number |
25885062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
窪田 悠一 新潟県立大学, 政策研究センター, 講師 (40710075)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 政治学 / 内戦 / スリランカ |
Research Abstract |
平成25年に実施した研究の成果は、1)スリランカ内戦における反乱軍(タミル・イーラム解放のトラ:LTTE)の軍事・政治拠点が築かれた場所や政府軍との交戦に関する地理情報に関するデータの構築、及び2)その実証データの分析と関連論文等の報告・執筆に分けられる。 前者に関しては、オスロ国際平和研究所(PRIO)が作成しているThe Armed Conflict Location and Event Dataset (ACLED)を参考としつつも、当該データセットで対象外となっている非暴力イベント(e.g.要人の逮捕、反乱軍の分裂など)に関する情報の収集及びコーディングを行った。その結果、第三次イーラム戦争の開始(1995年4月)から第四次イーラム戦争の終了時点(2009年5月)までの期間において、1,200件以上の戦闘、また600件以上の非暴力イベントに関するコーディングが行われた。 また後者に関しては、上記のデータをもとに政府軍と反乱軍との間の戦闘がいかなる地点で行われ、またそれがどのように拡大したのかを分析した。ここでは特に道路ネットワークの重要性に着目しつつ、戦闘地域に対する政府軍・反乱軍のアクセスビリティが戦闘の発生・拡大に影響を及ぼしたことを明らかにした。分析の結果、スリランカ内戦における戦闘は、1)LTTEの拠点に近いものの反乱軍が道路上でアクセスしにくい場所で発生し、2)首都に近いものの政府軍が道路上でアクセスしにくい場所に拡大したことが分かった。本研究の成果はこの他に、スリランカ内戦とそれ以外の事例との比較や、内戦の計量分析による研究のレビューに関する著書、論文、学会報告などとして発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画では、スリランカ内戦に関する戦闘等の地理情報を含むデータの構築とその分析及び関連論文等の執筆・報告が予定されていたが、これらに関してはいずれも達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の引き続きの作業としては、上記データの公開に向けた整備とこれを用いたさらなる論文の執筆が必要となる。さらに次段階として、スリランカ内戦中に反乱軍の支配領域にあった地域の住民に対する質問票調査を実施する予定である。このために、調査対象地域や対象者の選定、また質問票の作成を含めた調査設計を行う。また、ここで得られる結果は、今後の研究のさらなる発展に伴って実施される可能性のある、より大規模な調査における質問票の作成や対象者のサンプリングに反映するとともに、国内外の学会や研究会で発表する。
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