2013 Fiscal Year Annual Research Report
小学校国語科の読みと幼稚園領域ことばの教師の教授スタイルに関する研究
Project/Area Number |
25885070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
吉永 安里 國學院大學, 公私立大学の部局等, 助教 (50714721)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 幼小連携 / 小学校国語科 / 幼稚園領域ことば / 教授スタイル |
Research Abstract |
本研究では、幼児教育と小学校教育の接続期に起こる問題として大きな話題となっている「小1プロブレム」について、授業中の教師の子どもへの関わり、特に言葉かけや表情、環境設定といった教授スタイルのあり方、そして教材の取り扱い方の観点から問題点を明らかにし、幼児教育から小学校教育へ滑らかに接続させていく知見を明らかにすることである。このため、本研究では、①幼稚園、小学校での『おおきなかぶ』の読み聞かせ、授業場面を観察し、その教授スタイルの違いを分析し、幼稚園と小学校の連携のあり方を教師の教授スタイルという視点から考察すること、②『おおきなかぶ』の教材の取り扱いに関する幼稚園教諭・小学校教諭の意識の差異を、部分指導案、学習指導案の記述を分析することにより考察すること、の2点を研究する。 現在①までの研究をほぼ終え、幼稚園・小学校両方での『おおきなかぶ』の実践を観察し、無藤(2013)の「自覚的な学び」の5つの力を観点として、教師の教授スタイルを分析した。その結果、幼稚園教諭の教授スタイルにおける言語性の促しのレベルの高さに対する小学校教諭の言語性の促しの相対的な低さ、幼稚園教諭に対して小学校教諭の集中性・自覚性の促しの相対的な強さというねじれ現象起きていることが明らかになった。 このことが、小学校の学習に対する意欲の低下、また集中性や自覚性を強く促されることに対する心理的抵抗につながり、「小1プロブレム」という小学校への適応の問題を引き起こすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、2年間の研究期間中、 ①幼稚園、小学校での『おおきなかぶ』の読み聞かせ、授業場面を観察し、その教授ス タイルの違いを分析し、幼稚園と小学校の連携のあり方を教師の教授スタイルという視点から考察すること ②『おおきなかぶ』の教材の取り扱いに関する幼稚園教諭・小学校教諭の意識の差異を、部分指導案、学習指導案の記述を分析することにより考察すること の2点を研究することである。 現在1年目を終え、①までの研究をほぼ終えており、②の研究に着手しはじめるところである。研究の約半分を1年で終え、概ね順調な進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、 ②『おおきなかぶ』の教材の取り扱いに関する幼稚園教諭・小学校教諭の意識の差異を、部分指導案、学習指導案の記述を分析することにより考察すること を重点的に推進していく。 ①で明らかになったことをさらに、教師の教材に対する意識から、特に言語性の促し部分に着目して分析することとする。 また、本年度は、諸外国の幼児教育・小学校教育の連携についても海外視察を含め、考察を深めていきたいと考えている。
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