2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能を起因とする診断横断的な精神病理傾向の予測に関する研究
Project/Area Number |
25885079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
守谷 順 立教大学, 現代心理学部, 助教 (70707562)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 精神病理 / 認知機能 / 診断横断的 / 注意 / 記憶 |
Research Abstract |
様々な精神病理傾向(不安・うつなど)と様々な認知機能(注意・記憶など)の低下との関わりはこれまで示されてきたものの,複数の精神病理傾向に共通の認知機能が関わっているのか,それとも特化した認知機能が個々の精神病理傾向に影響を与えているのか,体系立てて検討されてこなかった。平成25年度の研究では,複数の精神病理傾向と認知機能を同時に測定し,多変量重回帰分析を行うことで,複数の精神病理を跨る共通基盤が存在するか否か検討した。結果,複数の精神病理傾向を説明する共通の認知機能があるというよりは,個々の認知機能がある特化した精神病理傾向に強く影響を及ぼすことが示された。具体的には,視覚的ワーキングメモリ容量(一時的に記憶できる量)の多さは不安・社会不安特性と統合失調型傾向の強さを予測し,注意機能の定位能力(顕著性の強い刺激への注意)の低下は抑うつの強さを,注意機能の覚醒機能(予測される刺激に対する反応準備)の高さはサイコパシー傾向の強さを,実行機能(必要のない情報の抑制)の低下は注意・欠陥多動性傾向の強さを,注意課題時に提示された背景刺激の再認記憶の低さは強迫傾向の強さを有意に予測した。複数の精神病理傾向を予測する認知機能は見られなかった。したがって,複数の認知機能の測定は精神病理傾向の弁別に役立つほか,特異的な精神病理傾向の予防・改善には特化した認知機能の改善が有効である可能性が示された。しかしながら,今回の実験ではまだ実験参加者数が少なく,参加者をさらに多く募ることで上記の結果が維持されるか慎重に調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験実施について支障はないが,当初予定していたよりも実験参加者が十分に集まらなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き前年度の実験を続け,まずは実験参加者数を増やすことを優先する。前年度の結果から,各精神病理傾向と特に関係のある認知機能を取り上げる。同時に縦断研究を実施し,認知機能の変動と精神病理傾向との因果関係について調べ,精神病理傾向に強く影響を与える認知機能の改善プログラムを提案する。
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Research Products
(6 results)