2014 Fiscal Year Annual Research Report
国際危機における政治的コスト:「観衆費用」モデルの実証研究
Project/Area Number |
25885084
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
栗崎 周平 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際政治 / 戦争の原因 / 観衆費用 / 国際危機 / ゲーム理論 / 構造推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際政治における「暗黒物質」といわれるメカニズムが近年研究者の注目を集めている。直接観察できないにもかかわらず、政府の対外政策に重要な影響を与え、国際政治理論における幾つかの主要なパズルを統一的に説明しうる理論モデルであると考えられている。いわゆる「観衆費用」である。 本研究は、数理的な理論モデルと統計モデルを融合することで、観衆費用を観測・計測することはできないというこれまでの常識を覆し、観衆費用の証拠を観測データから統計的に検出・同定することに世界で初めて成功した。とくにゲーム理論に基づく標準的な国際危機ゲームから観衆費用モデルを完全ベイズ均衡として特徴づけた上で、この均衡から推定関数を導くことで統計モデルを構築し、観測データに基づいて国際危機ゲームの構造パラメータ(ここでは特に利得)を推定することで、「観衆費用の直接的証拠を国際紛争データから求める」という本研究の第一の目的を達成した。なお、この分析は、観衆費用が存在する条件(政治体制と相対的な国力)やその大きさとその特性(民主主義度との正相関)が、これまでの理論的予測とほぼ合致することを統計的に裏付けるものであった。 また、「観衆費用が各国政府の国際危機における行動に与える効果を検証する」という本研究の第二の目的も達成できた。すなわち、上記の構造推定という手法で推計した観衆費用を用いて、「観衆費用の規模は、国際危機における強制力や交渉力を向上し、相手国が譲歩をする確率が高くなる」という理論的予測も、統計的に有意に裏付けられることを明らかとした。 これら分析結果は国際関係論におけるトップジャーナルであるInternational Organization誌に研究期間内に査読を経て採択され、その概要を説明する論文は『レヴァイアサン』に刊行した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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