2013 Fiscal Year Annual Research Report
成城小学校におけるドルトン・プラン受容の史的再検討
Project/Area Number |
25885093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
足立 淳 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50707528)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 大正新教育 / 成城小学校 / ドルトン・プラン |
Research Abstract |
当該年度においては、提出した「研究の目的」と「研究実施計画」の内容に即して、1924年4月から1928年3月までの私立成城小学校におけるドルトン・プランの本格的実践の史的再検討の作業を進めた。そこで得られた具体的な成果は以下の諸点である。 第一に、成城学園初等学校、および成城学園教育研究所における所蔵史料の調査を実施し、新らしい史料を発見することができた。これらは、管見の限り、先行研究において用いられてこなかったと見られることから、今後の研究の進展にとって大きな意義を有するものと考えられる。 また、上記の調査を通じて入手した史料群の詳細な分析の結果、以下の(1)、(2)が明らかとなった。すなわち、(1)ドルトン・プランに備わっていた、学校組織全体で「協同」を保障するための仕組が、成城小における教育実践の抱えていた弊害を克服するために積極的に摂取されていったことが解明された。他方で、(2)「学校の社会化」を目的とするドルトン・プランと、「学習の個別化」を強く志向する成城小学校の自学法との間には、依然として教育目的上のズレや差異が存在していたことも判明した。 上述の諸成果は、本研究の「研究実施計画」において期待された成果を実現したものといってよい。さらに、当該年度において得られた知見は、日本カリキュラム学会第24回大会において「成城小学校におけるドルトン・プランの本格的実践」と題して発表した。その後、同学会の紀要に同題の論文として投稿し、査読の結果、採録されることも決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」においても述べた通り、所期の史料調査を実施することができたこと、さらに、投稿した論文が学会誌に採録されたことから、提出した「研究の目的」と「研究実施計画」において期待された成果を実現することができたと考えられる。また、それのみに留まらず、史料調査によって得られた史料群からは、これまでの仮説の再考を迫る史実の存在が読み取れるものまでもが発見された。今後は、上記の成果を踏まえて、さらに慎重な分析を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
さしあたっては、当初に提出した「研究実施計画」に示した仮説と課題に即して分析作業を進めていく予定である。ただし、今後の史料調査の成果によっては、これまでの研究枠組では合理的に説明し切れない史実が明らかになる可能性が十分に考えられる。その際には、新史実をも含み込んだ整合的な研究枠組の再構築に取り組む必要があるだろう。
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