2013 Fiscal Year Annual Research Report
日米防衛協力の起源と展開――1970年代から80年代を中心に
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25885095
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
吉田 真吾 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (10705883)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際関係 / 安全保障 / 日本外交史 / 日米同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は、1970年代における日本の同盟政策に関する研究を実施し、具体的には、史資料の収集と精査、学会における仮説の提示、新しい論考の執筆という三つの分野で研究を実施した。第一に、史料の収集と精査については、外務省外交史料館への特定歴史公文書等利用請求を行って公文書の発掘に努めるとともに、国立国会図書館憲政資料室や明治大学史資料センターが所蔵する私文書の調査を行った。また、これらの新規入手史料の収集・精査と並行して、すでに報告者が情報公開請求を利用して外務省から得ていた公文書の読み込みも行った。 第二に、仮説の提示については、日本防衛学会の年次研究大会で報告を行った。この報告は、平成24年度に出版された拙著の議論を主たる内容としているが、本研究のテーマである日米防衛協力にも深く関係する。とりわけ、1970年代の日米防衛協力と1980年代のそれの連続性という仮説を提示し、これについて討論者や参加者から多様なコメントを得たことは、本研究にとって重要な意味を持っている。 第三に、新しい論考の執筆については、「1970年代における日本の同盟政策」と題する英文の論文の草稿を書き上げた。1970年代、その後の時代における防衛協力の基盤となる「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の策定をはじめとして、日本は米国との防衛協力を進めた。本稿の目的は、なぜ、それまで防衛協力に積極的でなかった日本がそれを行ったのかを明らかにすることにある。この問題に対し、本稿は、①日本の政府当局者が米国の提供する安全の信頼性に不安を抱いたことが日米防衛協力の原動力となったこと、および②日本社会の軍事に対する反感(反軍主義)が1970年代半ばに急速に弱まったことで、政府が日米同盟の制度化、とりわけ軍事面での協力(防衛協力)を進める余地が生まれたことを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内で収集した史資料の解析を行っていたところ、1970年代の日米防衛協力に関する防衛庁史料が決定的に不足しており、その政策過程が解明できないという問題が生じた。研究遂行上、防衛庁内の政策過程の解明が不可欠であるため、国内でのフィールドワークを追加で実施する必要性に迫られた。それゆえ、当初予定よりも、やや遅れが生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、日本でのフィールドワークを充実させ、上記の問題に対処するとともに、米国でのフィールドワークを実施し、米国側の政策過程の解明に取り組む。
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