2014 Fiscal Year Annual Research Report
日米防衛協力の起源と展開――1970年代から80年代を中心に
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25885095
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
吉田 真吾 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (10705883)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際関係 / 安全保障 / 日本外交史 / 日米同盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、大別して、資史料の収集と論考の執筆と報告という二つの分野で研究を実施した。史料の収集については、米国の外交・安全保障政策に関する文書を渉猟した。具体的には、国立公文書館2号館(ワシントンD.C.近郊)とレーガン大統領図書館(カリフォルニア州)で調査を行い、NSCや国務省、国防総省(軍部を含む)の文書の発掘を行った。また、ワシントン滞在中には、議会図書館において、シュレシンジャー――日米防衛協力が実質的に始まる1973年から75年の時期に国防長官を務めた――の文書をはじめとする私文書も収集した。 新しい論考の執筆と報告については、日本国際政治学会の年次研究大会において、「日米防衛協力の起源」と題するペーパーを提出した。ここでは、日米防衛協力の構想が浮上した1960年代末から、その開始が日米間で実質的に合意された75年8月に至るプロセスを、国際環境と日米両政府の相互認識および日本の国内政治の連関に着目しながら追跡し、日米防衛協力が始まった原因について、次の二点を指摘した。 第一に、60年代後半から70年代半ばまでの時期に、米国が東アジアにおける軍事プレゼンスを縮小するとともに、同盟国に負担の分担を求めたことによって、日米両政府間の相互不安――米国の防衛コミットメントに対する日本政府の不安と、日本の自立化に対する米国政府の不安――が高まり、これが日米防衛協力開始の決定の原動力となっていた。第二に、75年に防衛協力が日米両政府間で合意された背景には、それまで防衛協力を抑制してきた日本国内の反軍主義――軍事全般に対する反感――という規範(あるいは文化)が、70年代中頃に明確な形で後退し始めたことがあった。日米防衛協力の起源を分析した本格的な歴史研究が希少なことに鑑みれば、この研究によって、日米同盟に関する研究史上の空白が多少なりとも埋まることが期待される。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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