2013 Fiscal Year Annual Research Report
「国際協力」をどう見せるか-先進国社会を動員するNGOのメッセージ
Project/Area Number |
25885099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡田 彩 同志社大学, 政策学部, 助教 (30707360)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際協力 / 非政府組織(NGO) / 情報発信 / メッセージ / 広報 / アドボカシー / 国際情報交換(イギリス) / 国際情報交換(台湾) |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本をはじめとする先進国に基盤を持ちつつ、国際協力に従事する非政府組織(NGO)が、広報や募金、教育、アドボカシー活動などを通して、先進国社会に暮らす人々を途上国の貧困問題を解決する取り組みへと動員する際、どのように「国際協力」を見せているかを検討することである。 本年度は、日本の国際協力NGOが発するメッセージの特徴を浮かび上がらせるため、日本、イギリス、台湾にオフィスを構える国際協力NGOを6つ選び(World Vision, Child Fund, Medicine Sans Frontiers, Plan International, Save the Children, Oxfam)、そのウェブサイトに掲載されている内容(コンテンツ)の比較分析を行った。各国の国際協力NGOは、様々な形で情報発信を行っているが、本研究ではデータ入手の容易さと情報の受け手となるオーディエンスの規模から、各団体がウェブサイトに掲載している情報に着目した。なお、データは2013年11月・12月時の掲載情報とした。学部生4名の補助を受けながら、質的分析ソフトウェア・MAXQDAを用いてコーディングを行い、コンテンツ分析を完了することができた。 また比較対象国の国際協力NGOに関する情報収集、聞き取り調査、専門家インタビューを行うため、現地調査を行った。イギリス(2014年2月19日~2月27日)では、ロンドンを中心に団体およびその関連機関への訪問、滞在中に開催されたイベントへの参加・参与観察、3名の専門家へのインタビューを実施した。台湾(2014年3月18日~25日)では、承諾を得ることのできたNGO2団体への訪問、8名の専門家へのインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に記した本研究一年目の目的は、十分達成されたとは言えない。2013年8月末日の交付決定から事実上7ヶ月間のみの研究期間であったため、データの分析から成果を引き出し、十分な公表に至るところまでは至っていないというのが現状である。なお、本プロジェクトによる成果の一部は、日本NPO学会第16回年次大会(2014年3月15日~16日・関西大学)にて報告した。 成果の公表までは至っていないものの、学部生4名の研究補助を得ながら行ったウェブサイトのコンテンツ分析は、すべて完了している。コーディングの信頼性、妥当性を高めるため、同一のウェブサイトを必ず2名が分析を行い、その一致の度合いを確認したことから、非常に信頼性の高いデータセットを形成することができた。また3月中旬に一次的なコーディング作業を終えた後、ウェブサイトに掲載されている写真に着目し、そのビジュアル分析を行った。この作業も終了しており、そこから示唆される結果を精査し、学会発表、論文等で発表する段階にある。2014年7月にはInternational Society for Third Sector Research (ISTR)第11回年次大会(ドイツ・Muenster、2014年7月22日~25日)にて発表が決定しているほか、Association for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action (ARNOVA) 第43回年次大会(米国・デンバー、2014年11月20日~22日)での発表に応募済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年目となる平成26年度は、以下二つの課題に取り組む。 第一に、平成25年度に行った分析作業をまとめ、公表する。本年度の分析作業から形成したデータセットを用いて、日本に基盤を持つ国際協力NGOが、日本で暮らす人々の動員を目的に発信する情報やメッセージが、他のドナー国であるイギリスおよび台湾とどのように類似し、どのように異なっているのかを検討する。直近に予定している学会発表は「現在までの達成度」に述べた通りであるが、ここで発表する論文を基盤に、投稿論文(Journal of Nonprofit & Public Sector Marketing等)としての発表を目指す。また2015年3月に、武蔵大学(東京)で開催される日本NPO学会で報告を行う。 第二に、上記研究目的に基づく第二の問いである「日本に基盤を持つ国際協力NGOが、日本で暮らす人々を国際協力という営みに動員する上で、どの程度効果を上げているのか」というリサーチ・クエスチョンに取り組む。まずアドボカシー評価、教育評価など、関連分野の評価に関する先行研究に学び、日本の国際協力NGOの文脈に沿う評価指標を定める。なお計画段階では、評価指標を設定し、一年目に対象とした6つの国際協力NGOの事例で実際の評価を行うとしていたが、一年目が終了した現時点において、当初の予定よりも進捗が遅れていることから、実際に評価を試みる事例の数を縮小する。また計画では、日本を基盤とする国際協力NGOのみならず、イギリス、台湾に基盤を持つ団体の評価も行い、比較分析をしていたが、これは次年度以降に持ち越すこととする。
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Research Products
(2 results)