2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25885100
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
菊谷 まり子 同志社大学, 心理学部, 助教 (60707412)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 認知心理学 / 顔認知 |
Research Abstract |
本研究は顔認識における顔の表情と視線の影響、およびそれらと観察者の性格の交互作用を調べることを目的とする。近年の研究で、顔の視線の向きが覚えやすさに影響することが示されており、視線が観察者と合う顔のほうが合わない顔よりも覚えやすいといわれる。また、表情も認知の重要な手がかりとなり、笑った顔の方が怒り顔よりも覚えやすいといった報告がされている。しかし、視線と表情が顔の覚えやすさにどのような交互作用をもつのかは深く研究されていないため本研究ではそこをテーマにする。それと同時に観察者の性格、特に社会不安や自意識の高さの度合いが顔の認知にどのような影響を与えるかにも着目する。視線が合う顔の方が覚えやすい要因の一つは、その顔が「観察者と社会的な関係を気づく意思」があることを示すからだと言われるが、社会不安が高く、視線を合わせることに消極的な人たちにおいてはその要因が顔の記憶を促進しない可能性がある。実験では参加者にまず笑顔または怒った顔で視線がまっすぐのものと横にずれた顔をいくつか記憶してもらい、その後それらの顔の再認率を測定する。 平成25年度は刺激の準備と実験のプログラミングを行った。中国人の顔500人以上が収められたCAS-PEALデータベースと白人の顔60人ほどが収められたRAFDデータベースを取得した。両データベースから、予備調査によって実験に使用するのが適切とされる顔を選び、背景削除や視線の操作を行った。合計864枚の顔写真を作成した。これらの写真を心理学実験用ソフトウェア(e-prime)を使って呈示できるようプログラミングを行った。また、社会不安を測定するための質問紙の妥当性や回答時間などを事前調査で把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初は白人の顔を使用する予定ではなかったが、同人種では笑顔の方が覚えやすいのに対し異人種の場合は怒った顔が覚えやすい可能性を調べるため白人の顔を刺激に加えることにした。そのため準備に多少遅れが出たが、大きな支障はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は以下のとおりである。 4月から7月:データ収集、集まったデータの集計。 8月から12月:データの解析の、学会発表。データのとり直しが必要な場合はデータ収集。 1月から4月:取り直したデータの解析、まとめ、学会発表、学会でのフィードバックを盛り込んで論文作成。 26年度の前学期中に60人ほどのデータを収集し、秋までにはデータの解析を終えることを目標とする。結果を国内と海外の学会で一度ずつ発表すること目標にする。国際学会はThe annual international conference on cognitive social & behavioural science(2015年1月開催)、またはInternational convention on psychological science(2015年3月開催)でのポスター発表を目指し、国内では日本基礎心理学会または日本顔学会大会での発表を目指す。2016年には結果をもとに次の研究計画の立案や論文の作成に取り組む。
|