2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25885101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
香西 豊子 佛教大学, 社会学部, 講師 (30507819)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 予防接種 / 歴史社会学 / 天然痘 / 種痘 |
Research Abstract |
本研究は、日本における予防接種のあり方を歴史社会学的に検証し、それが時代によって帯びていた意味合いと政治性とを明らかにすべく、研究計画(交付申請書作成)の段階で、4つの具体的な課題(達成目標)を掲げていた。本年度(平成25年度)は、このうち、以下2つの課題(交付申請書ではそれぞれ「課題I」「課題II」)について取り組んだ。 第1は、近世後期における天然痘の流行とその対処法の解明である。読解・分析に供するための当面必要となる資料はすでに収集を終えていたため、研究スタート時より、随時、読解・分析を進めた。これにより、従来の議論において見落とされていた天然痘に対する藩政上の対処機制が明らかとなった。なお、その成果の一部は、論文にまとめた。また、課題遂行と並行して、医学史および感染症に関連する基本文献(雑誌・事典類も含む)が所属機関に十分に揃っていなかったため、今後の研究を円滑に進めるべく、この間に資料収集・読解・論文執筆とともに基本文献の収集も行った。 第2は、近世後期における種痘(天然痘に対する予防接種)施行に関する議論の全容解明である。この課題に関しては、必要最低限の資料は収集済みであったが十分ではなかったため、まずは、資料の読解をすすめるかたわら調査出張をおこなって補足資料を収集した。その結果集まった資料を読解・分析した結果、近代以降には「旧説」として顧みられなくなった天然痘に関する議論が近世後期にはむしろ支持されていたこと、ならびに、近世後期に種痘の施行に関して具体的に何が「問題」とされ議論されていたかが明らかとなった。この課題の成果についても、論文としてまとめ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初、本年度(平成25年度)に資料の収集・読解・分析という基礎的な作業を行い、翌年度においてその成果をまとめる予定であった。しかし、基礎的な作業が非常に順調に進み、成果物(論文)を2編まとめることができたため、結果のみで見れば、当初の計画よりも進展していると評価できる。 ただし、調査出張に関しては、日程上の都合により翌26年度に持ち越したものがあるため、翌年度内での研究計画の調整を必要とする。
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Strategy for Future Research Activity |
当初掲げていた4つの課題のうち、2つ(交付申請書に掲げた「課題I・II」)に関しては計画よりも順調に成果を出すに至ったが、残りの2つの課題(同「課題III・IV」)については、予備調査の結果、当初の計画よりも進捗に時間がかかることが予想されるため、優先順位を変更し、まずは課題IVより着手することにする。 また、日程上の都合により本年度(平成25年度)に行うことができなかった調査出張を、翌年度の早い時期に行えるよう調整する。
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