2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の学習ダイナミクスと結びついたキャリア形成に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
25885104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河井 亨 立命館大学, 教育開発推進機構, 嘱託講師 (20706626)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 大学生学習論 / 学びと成長 / キャリア形成 / 学習に関する時間的展望 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大学生の学習ダイナミクスと結びついたキャリア形成を捉えるための理論的・実証的枠組みの構築を図ることである。 1. 2013年度には、『大学生の学習ダイナミクス―授業内外のラーニング・ブリッジング』(東信堂)が研究成果として出版された。「学生の学びと成長」という大きなテーマのもと、学生が授業内外の学習を結びつけて架橋するラーニング・ブリッジングという学習ダイナミクスを展開して成長していく姿が理論的・実証的に明らかにされた。 2. 調査研究を通じて、学生の学習アプローチ、学生の学習の組織化、学生の人生の形成とが関連し合っていることを示した(Educational technology research, 36(1・2))。先行研究とこの研究をあわせ、学習とキャリア形成の関係構造に対し、概念化を図ることによってアプローチする必要性が見出された。 3. 調査研究としてのアクション・リサーチと大学教育実践としてのインスティチューショナル・リサーチを織り合わせていく方法論的考察を行い、FDとIRを結びつけていく上で調査実践が省察と対話の契機となることを示した(IRIM: Advanced Applied Informatics (IIAIAAI), 2013 IIAI International Conference)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題については、学会において十分に深く認識されるには至っていない状態にある。大学教育実践上、学習とキャリア形成は結びついてしかるべきとのように自明の目標とされている。また、研究においても、実践における自明視の影響からか、学習とキャリア形成の関係構造それ自体を問う研究はそれほど見られない。こうした現状に対して、本研究課題は、学習とキャリア形成の関係構造がそれ自体問われるべき対象であることを示す成果を公表してきた。研究課題が課題であることを認識するための外堀を埋めていく作業であった。また、同時並行して実施した調査では、まさに学習とキャリア形成の関係構造を検討可能な調査設計を行った。現在、分析を進めており、次年度には成果を公表できる見込みである。以上を踏まえ、本研究課題は、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年度)は、学習とキャリア形成の関係構造を対象とした調査研究の成果を具体的に公表していく計画である。学習とキャリア形成の関係構造として、具体的には、キャリア形成に学習概念を接ぎ木した高次の概念化である「学習に関する時間的展望」概念を検討する。その後の展開としては、「学習に支えられたキャリア形成」としての「学習に関する時間的展望」に影響を与える要因とそれが影響を及ぼす様態を明らかにすることが1つの課題である。具体的には、低学年時における「学習に関する時間的展望」の形成に寄与する要因を探るという課題がある。初年次教育において、「学習に関する時間的展望」に影響を及ぼす要因が何であり、どのような影響を及ぼすのかといった研究課題が見据えられている。また、調査研究を踏まえ、学習とキャリア形成の関係構造がどのように形成されるかという理論的な問いに対する文献研究が求められよう。引き続き、課題としたい。
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