2013 Fiscal Year Annual Research Report
航空会社の合併と低費用航空会社の関係に関する実証的研究
Project/Area Number |
25885114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
朝日 亮太 福山平成大学, 経営学部, 講師 (10712359)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 米国航空産業 / 合併 / 低費用航空会社 |
Research Abstract |
平成25年度において、主に2000年代に米国航空産業において実施されたUSエアとアメリカウエスト航空の合併、デルタ航空とノースウエスト航空の合併に焦点を当て、合併前後にこれら合併企業の運賃設定行動が変化するか、また合併企業と対峙しているライバル航空会社の運賃設定行動が合併前後で変化しているかについてデータを用いて分析を行った。 この研究の意義は次の3点である。第一にこれまで航空会社の合併の影響について長期的に分析したものがあまりない中で、1つの合併のケースについて、合併の効果の長期的分析を行った点である。第二に合併に関係する企業の有する特性により合併前後の運賃設定行動が異なるかについて分析した点である。第三にこれまでのほとんどの研究が低費用航空会社(LCC)について考慮していなかった中、合併が運賃設定行動に対し与える影響が低費用航空会社の有無により変化するかについて分析を行った点である。 分析の結果、合併する企業と合併される企業が有する特性により合併前後の運賃設定行動が変化する可能性、低費用航空会社の有無により合併前後の運賃設定行動の変化も異なる可能性を示すことができた。 またこれらの結果は、先行研究の結果と異なる点もあり、低費用航空会社が発展した今日において、さらに詳細に合併の効果を分析する必要性を示している。 今回の研究で用いられた方法・成果は、近年実施されたサウスウエスト航空とエアトランの合併のケース、ユナイテッド航空とコンチネンタル航空の合併のケース、アメリカン航空とUSエアの合併のケースに対しても応用可能であり、今後、これらのケースについても分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度においてデータの作成は概ね完了し、計量モデルの推定を行うなど、予定されていた作業の多くは終えることができた。一方で、研究協力者や学会報告を通じ、主に次の改善点が示された。まず計量モデルに用いている限界費用の算出である。これまでの分析では、限界費用の代理変数を用いていた。より詳細な分析のためには限界費用の導出が不可欠であると考えている。そして、合併企業の内部事情の考慮である。これまでは、主に運賃の変動から、合併企業の運賃設定行動の変化について考察を行ってきた。しかしながら、合併は内部組織にも大きな変化をもたらすものである。そのため、結果の解釈には組織の変化についても十分に考慮する必要があると考えられる。現在、先行研究、研究協力者の意見などを用いてこれらの対応にあたっている。そして、それらの対応に時間がかかっているため、当初の計画にあった論文の執筆が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究を次のように進める計画である。第一に、これまでに示された改善点への対応である。特にデータ・計量モデルの改善に関しては優先的に対応する。具体的には、限界費用の導出については、新たなデータベースを作成し費用関数の推定を行うもしくは、先行研究で提示されている方法を用いることを考えている。 第二に、先行研究のレビューを再度行う。本研究で対象にしている合併に関する分析が平成25年度から多くみられるようになってきた。そのため、それらの結果を整理し、本研究との結果と比較していく必要がある。 第三に学会発表を通じて、結果に関する意見を収集しその後、論文の執筆を行う。 また研究を進めていく中で、アメリカン航空とUSエアの合併が発生した。今後、この合併についても考慮していく必要があると考えている。
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